捩花 (ねじばな)または捩摺(もじずり)とも言う (季節の花300)
頭のどこかで次の歌声(独特の節回しで)が茶事の間中、聞こえていたような・・・。
みちのくの しのぶもぢずり 誰ゆゑに
乱れそめにし 我ならなくに 河原左大臣(古今集)
6月4日に第5回お茶サロン・「野の花を愛でる」茶会を無事に終えることが出来ました。
その日は小田急線が一時不通になり、お客さまは大変な思いをされながら馳せ参じてくださって、感謝です。
詰・Wさまの打つ板木の音で茶会がスタートしました。
半東・Fさんが白湯と文旦ピールを汲み出し(蛍透かし)に入れてお出しし、露台の腰掛待合へご案内しました。
蹲踞を清め、自身を清め、枝折戸を開けて、無言の迎え付けです。
ここでお客さまと顔を合わせるのですが、初めてのお客さまもいらして久々にドキドキしました。
摘んできた野の花や茶花がいっぱいになりました
素敵なお客さまは6名様、嬉しい「出会い」を感じながら記念にプロフィールを記しておきます。
正客・・・佐藤愛真さま(裏千家流、佐藤愛真料理教室を主宰。時々、暁庵の茶事で懐石をお願いしていますが、この度はお客さまとして楽しんでいただければ・・・と願っています。そのプロに手づくりランチをお出しするのですから「どうしょう!・・・?」、強力な助っ人の半東・Fさんが頼りです)
次客・・・Rさま(裏千家流、佐藤愛真料理教室の生徒さんでもあります。古美術が好きな父上さまの蒐集品に囲まれて育ち、自然に古いものが好きになったとか。茶花が大好きで、花と向き合う時間を大切にしておられます。郷里山形市の鈍翁茶会のお話をサロンで伺わせてください)
三客・・・Kさま(裏千家流、不思議なご縁で初めての御目文字です。京都から東京へ移転し、お茶環境を整えるのに苦労していらっしゃいますが、お茶に対する姿勢にパワーと情熱を感じます。金剛流仕舞を習っていて「半蔀」の舞拍子の発表会があったばかりとか)
四客・・・Hさま(裏千家流、暁庵の茶友で、一緒にいると心が癒される方です。いつも元気を頂いていますが、今日は元気をさしあげられたら・・・と思っています。淡交会役員を誠心誠意を持って修行中で、心から応援し尊敬しています)
五客・・・KSさま(暁庵の茶道教室の生徒さんです。半東見習いなど暁庵の茶事を手伝ってくださる、頼もしい方です。今日はお客さまとして参加してもらいましたが、茶会を楽しんでくださると嬉しいです。茶道より書道の勉強が長いようです)
詰・・・Wさま(裏千家流、ブログの愛読者で第4回お茶サロン「春は名のみ」の茶事に続いてお出ましくださいました。「端午の節句」の茶事ではじめて亭主を務められたそうで、今、茶事に燃えている様子が窺えます。今回は詰をお願いしました)
ここで閑話休題、
最近、或る本を開くと冒頭に「ふむふむ!」と深く頷く一文に「出会った」ので、忘れぬよう記しておきます(追って本の題名と作者を記載します)。
・・・・(前略)・・・・
フランスで暮らしていた頃、お客を招く時のご馳走とは食べ物ではなく、「人」なのだ、ということをよく感じさせられた。
気持よく調えられた室内、適当な音楽といった気遣い方もむろんするが、何といっても「相客」という「人」に勝るご馳走はない。また、自分自身という「人」を最上の状態で呈することが、他人を招くための最低の条件であることは言うまでもない。
「出会い」が何よりのもてなしなのだ。よき「出会い」をより楽しくするために、おいしいものを用意するのであって、それ自体が目的ではない。
生活の機械化が進み、人間不在の文化などと言われる時代になればなるほど、私たちは「人」ほどかけがえのない「贅沢品」もない、ということをよくよく考えさせられる。
情報化社会とかで、通信発達に伴って、人と人とがじかに顔を合わせないでも、意志の疎通はできるようになっているはずなのだが、そこが文明の皮肉とでもいうのか、私たちはますます人どうしが出会うことの大切さを知らされている。
・・・・(後略)・・・・
「野の花を愛でる」茶会・・・(2)へつづく 募集記事へ