港区まち創り研究会(まち研)ブログ

港区まち創り研究会の活動の状況やまちづくりについての様々な情報をお伝えします。
海外の街あるきの報告もあります。

世界の街から62---アメリカ リッチモンド

2012-09-20 07:00:52 | アメリカの街から
今日は、3年前に訪れたアメリカのリッチモンドという街をご紹介する。
ほとんど予備知識はなかったが、私(安藤)の妻の友人がいるので、訪れることになった。
 リッチモンドはバージニア州の州都人口約20万人で、日本で言えば水戸市のような都市にあたる。南北戦争の時、被災地となり壊滅的な被害を受けた後、建設された比較的新しい都市である。
アメリカ人が考える理想の街とはこんな都市なのだろうということが実感できる。広い立派な道路が整備され、きれいに手入れされた前庭のある住宅が続いている。職住を備えた都市で中心市街地も立派なビルが建ち並ぶ。広い公園もある。街はどこもきれいである。
車さえあれば、どこにでも行ける車社会に適合した都市である。以下2日間滞在したこの街の印象を記す。
・広い大きな住宅ときれいな住宅地
  知り合いのアメリカ人A氏の家に案内されたが驚いた。4人家族であるが、ともかく敷地も広く家も広いのである。道路から家の玄関までかなり歩く。庭もきれいに手入れされている。職業は弁護士さんと言うことで、とびぬけてリッチなアメリカ人ではない。食堂と居間が客用と家族用それぞれ二つずつある。ビリヤード室まで備えている。家のあちこちを案内していただき、飾ってある調度品、写真などの説明まで受けた。家の中を案内することがお客に対する一般的な慣例のようだ。庭には、木製のジャングルジムまで備えている。とにかく、何から何までそろっている。
  住宅地はどこの家も敷地が広く、前庭は、きれいに芝が刈り込まれ大きな木がある。
・トーマス・ジェファーソンの設計の州立議会議事堂
 翌日、リッチモンドの主要な場所を案内された。まず案内されたのが、アメリカ建国の父で初代大統領トーマス・ジェファーソン設計の州立議会議事堂である。大統領が設計を?と驚くが、実はトーマス・ジェファーソンは知の巨人といわれる人で園芸学、古生物学、建築学などにいろいろな学問に精通し、発明家でもあったそうだ。確かにきれいな建物であるが、デザインはギリシャの神殿のようでやや古典的な感じである。アメリカ人にとって、トーマス・ジェファーソンが設計した建物があることが誇りになっているようだ。
・街路
 通りはどこも広く、道路も広く街路樹もしっかり植えられていて緑が豊かである。記念碑大通りは彫刻や記念碑が建ち並ぶ。彫刻や碑の大部分は南北戦争で戦死した英雄たちである。ただ、バスのような公共交通機関はあまりみかけなかった。
・ダウンタウン
 規模は小さいが高層ビルが建ち並び、働きやすそうな環境に整えられている。職と住のバランスのとれた街であることがうかがえる。
 何でもアメリカでは有数のバイオテクノロジーの拠点都市であるようだ。
・文化施設
 市立のオペラ劇場であるランドマーク劇場に案内された。中も見たが豪華ですばらしい。20万都市でこんな立派なオペラ劇場があるとは驚く。
 他にもいくつか劇場があり、美術館、博物館もあるようだ。文化的施設も十分に整っている。
・モンロー公園(約3ha)
 手入れの行き届いた広い美しい立派な公園である。池のある日本庭園まで備えている。
・商店街 アメリカの都市に見られる低層の商店街である。広い道路や駐車場を備えており、どこにでも車が止められ買物や食事ができる。便利である。

・リッチモンドのもう一つの顔
 一通り見た印象はとにかく豊か、日本の都市の何十倍も豊かであることを実感する。
広い家に住み、大きな馬力のある車を乗りまわし、通勤も車ですぐに行ける。
 緑にあふれ、立派な公園もある。文化施設も充実し、街はどこもきれいである。
 しかし、このリッチモンドはもう一つの顔がある。
 犯罪発生率が2004年でなんと全米一であるのだ。殺人発生率は最悪で1990~1995年では毎年10万人あたりの殺人が120人を超えている。
 どうも、この裏にあるのは格差社会にあるようだが、詳しい理由は私にはわからない。
 若いうちは、こんな理想の都市に住んだら素晴らしいなあと思うが、年取って一人暮らしになり御殿のような広い家に住んでいたら、犯罪の多いこの都市に住んでいるのは恐怖でしかない。理想の都市とは何か、豊かさとは何かもう一度考えてみたい。

A氏邸 広大な敷地 アプローチが長い

A氏邸 手入れの行き届いた庭

A氏邸 木製のジャングルジムもある

A氏邸 食堂や居間も二つある

A氏邸 ビリヤード室

住宅地の景観

トーマス・ジェファーソンの設計した州立議事堂

州立議事堂

記念碑大通りの記念碑

緑豊かな街路

高層ビルが建ち並ぶダウンタウン

ランドマーク劇場

劇場内部 豪華である

公園の日本庭園入り口

日本庭園の池

A氏の乗り回している大きな車

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「三田小山町再開発を考える会」の打ち合わせが行われました

2012-09-19 08:52:25 | 港区のできごとあれこれ
日本建築家協会港地域会のメンバー、「再開発を心配する会」のメンバー、港区まち創り研究会から安藤が出席しました。
 今後の方針として、まちづくりのアンケート案を作成し、地権者に配布する。よいまちづくりのモデル案をつくり提示するなど、具体的な意見がだされました。
 イギリスの集合住宅の近年の動向として、いろいろな用途を混在させながら、複雑な形態の低層高密度住宅が主流になっているとの意見もだされました。
 皆さんから活発な意見がだされ、意義のある意見交換会でした。
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みなと第九を歌う会のオケ合わせが行われました

2012-09-18 08:47:21 | みなと第九を歌う会
「東海大学フィルハーモニック☆たかなわ」と「みなと第九を歌う会」のオケ合わせが初めて行われました。場所は本番で歌う東海大学の地下食堂です。台の上に並ぶと少し緊張します。双方ともまだ練習途中ですが、合唱の部分について通して練習しました。指揮者の神田典城先生は厳しい中にもユーモアを交えたわかりやすい指導でした。
 双方ともまだまだの所が多いですが、一応通して演奏すると何とかかっこうがついていました。合唱の方では、まだ練習していない部分もありましたが、経験者がひっぱってくれて何とか歌いきりました。神田先生も何とかメドがついたようで、少しほっとされていました。
 音の強弱のつけ方、ドイツ語の発音の仕方など基本的な注意が参考になります。
本番に向けて、皆前向きに練習に取り組めそうです。
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港区みどりの街づくり賞の作品を見るその3――南青山サンタキアラ教会

2012-09-17 06:34:49 | 高輪地区のできごと
南青山サンタキアラ教会は、港区でも最もおしゃれな街、表参道通りの裏の一角にある。
教会というよりブライダルホールの用途が主な目的の建物である。通りに面した壁面全体が100種類以上の植物で緑化されている。緑が少ない地区の景観の向上に寄与している。
多種の植物で覆われた壁面は複雑なテクスチャーとなっている。
 教会の建物は奥にあり、建物自体は緑化されていない。
確かに、地域の景観上は好ましい施設と言えるが、やや緑化自体が装飾的、人工的になりすぎているのではないかというのが私(安藤)の感想である。


教会入り口の壁面の緑化

多種の植物で覆われている
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旧赤坂小跡地に港区で「地域に開かれた大学」を誘致

2012-09-15 15:14:24 | 港区まち創り研究会
 朝日新聞でこんな記事をとりあげていました。
 「赤坂小学校跡地と周辺の2施設を合わせた土地(6640㎡)に大学を誘致しようと11月公募をする。災害発生時には被災者や帰宅困難者を受け入れ、住民向けの社会教育・産業振興に取り組む「地域に開かれた大学」になることを条件としている。」 
大学と地域との連携の必要性をこの頃特に感じます。近くの明治学院大学や東海大学高輪キャンパスでも近年、地域に開かれておりいろいろな便宜を図っていただきありがたく思っています。これから港区で行政・大学・地域住民との連携でいろいろなプロジェクトが立ち上がっていくことを期待したい。地域の魅力が一層増していくと思います。そういう点で、この企画はすばらしいです。
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世界の街から61---フィンランド タピオラ ニュータウン

2012-09-09 16:05:35 | フィンランドの街から
今日は、また飛んでフィンランドのタピオラニュータウンを紹介する。
 タピオラニュータウンはヘルシンキの郊外、バスで30分の距離にある。計画人口は17000人、面積230haの比較的密度が低い小規模なニュータウンである。
私が訪れたのはおよそ20年前であるが、こんな美しいニュータウンがあるのかと目を開かれた記憶が残っている。今から50年前にフィンランドの建築家アルバー・アールトなどが計画に携わって建設された。住宅棟は森の中に点在しており、戸建住宅も生垣で覆われている。ほんとにこんな緑に包まれた街なら住んでみたいと思った。大きな人工の池を中心にしたセンター地区がある。さすがデザインの国フィンランドで、センター地区全体はおとなしいデザインであるがデザインレベルが高い。ニュータウンのモデル都市として世界的に有名である。
このニュータウンのその後の様子が知りたがったが、最近、このタピオラ・ニュータウンについて触れられたレポートを見つけた。
 公益財団法人ハイライフ研究所のレポートで明治学院大学経済学科准教授服部圭郎氏が書かれた「ヨーロッパから学ぶ「豊かな都市」のつくり方」である。
ヨーロッパ諸国のまちづくりの自転車利用の話など「脱自動車」の動向をとらえたとてもよいレポートである。その中の一つの例としてタピオラニュータウンについて述べられている。
現在のタピオラの人口は18500人、雇用が18600人と職住のバランスのとれた都市として発展している。タピオラの「脱自動車」の動きとして、二つあげている。地下鉄が建設中で2014年、ヘルシンキとタピオラが結ばれる。もうひとつは環状道路の地下化の計画である。タピオラとオタニエミの間にある環状道路を地下化し、道路の上部を歩行者に開放し住宅地の環境を守る計画である。住宅地の環境を守るための道路を地下にする例は世界でも珍しい。
緑や空地がふんだんにあり人口密度が低いタピオラニュータウンで道路を地下にする発想は日本では全く考えられない。さすがに、環境を大事にするタピオラの市民の考え方はすごい。東京あるいは港区のまちづくりでも「脱自動車」の考え方ももっと取り入れてほしいと思う。(文・写真 安藤)

タピオラ

タピオラ 中心地区

中心地区

街のデザインレベルが高い

人工の池

駐車場も緑化されている

集合住宅

林にある集合住宅

集合住宅

集合住宅

生垣に覆われた戸建て住宅

オタニエミ大学
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三田小山町のまちづくりを考える会の会合が開かれました

2012-09-08 10:50:00 | 港区のできごとあれこれ
三田小山町再開発を心配する会の方、日本建築家協会港地域会の方、港区まち創り研究会のメンバーが集まりこれからの三田小山町のまちづくり考える会合がありました。
 総勢、15名の賑やかな会合になりそれぞれのメンバーからまちづくりについて活発な議論がありました。
 再開発を心配する会の方からこれまでの経緯の説明があり、再開発準備組合加入に同意した地権者は7割程度でここ2,3年賛成者は増えていないとのこと、港区では8割の同意がないと都市計画決定はしないという説明をしているとのことでした。地区によって、反対者の多い地区もあるとのことでした。
 今ある再開発の案は地域の街並みにあっているとは言えず、できあがったらコミュニティのつながりがなくなってしまうのでないかというのがみなさんの意見でした。
 地域を限定してまちづくり協議会をつくり、まちづくりヴィジョンを作成したらどうかという提案が建築家の方からなされました。全体で再開発を行うという選択肢にしぼらず、部分的な共同建て替え、個別建て替え、個別の修復などいろいろな方策を検討するという方向が示されました。特に、部分的な共同建て替えは立地から考えて十分可能性があると意見もだされました。その後、全員で現地を視察し、こんな温かみのある街並みが残っていることに感心しきりで、何とかこの街並みを生かした計画をつくりたいと建築家の方たちからご意見がありました。この地区は木造密集地区に指定されておらず、小型の消防車も入れる道幅も確保されており、部分的な対応で防災上の課題もクリアーできるのではないかという意見もありました。

レトロなb街並みが残されている 道路の幅員はある程度確保されている

部分的に路地のような空間が残されている

さぬき会館 みどりが豊富

奥が小山湯 営業はしていない

レトロな街並み

こんな八百屋もある

古川
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港区みどりの街づくり賞の作品を見るその2 品川フロントビル

2012-09-06 09:45:28 | 港区のできごとあれこれ
品川フロントビルは品川駅東口から徒歩3分の好立地である。東京新聞・東京中日スポーツ社跡地に総合設計制度を利用し開発されたビルである。地上19階、地下3階の延べ面積7万㎡を超える巨大ビルである。
設計は日建設計が行っている。公開空地は1200㎡あり、そのかなりの面積が緑化されている。ビルの周囲の空地は緑化され、前面の大きな広場は50%以上が緑で覆われている。
公開空地は誰でも入れるよう公開性は高く、歩いたり休んだりする場所として快適である。
高さ10mを超えるソメイヨシノがシンボルツリーとして前面の広場に植えられている。
広場の向かいにあるキッズ館は、屋上緑化、壁面緑化がほどこされている。
樹木は高木の常緑樹が多く植えられており、グランドカバーにはクマザサが多く使われている。キッズ館の2階は認証保育所、3階は子育て広場、1階には地域の人が使える集会所が設置され、地域貢献施設が充実している。
 巨大なオフィスの公開空地をかなりの部分を緑化した例として評価できる。今後の課題として、キッズ館だけではなくビル全体の壁面緑化にもぜひ取り組んでほしいと思った。

前面の広場

前面の広場 山のようになっている

シンボルツリーのソメイヨシノ

くまざさのグランドカバー

ビルサイドの緑化

ビルサイドの緑化

公開空地の表示

キッズ館の緑化
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高輪地区交通安全運動推進会議に出席しました

2012-09-05 16:45:17 | 高輪地区のできごと
9月は交通安全月間ということで、高輪警察署、高輪交通安全協会の主催で交通安全推進会議が開かれました。町会関係者、PTAなど各種団体の方が集まりました。
 交通事故の概況では、高輪地区警察署管内で今年は人身事故発生件数が減っているようで、9月までで149件で年間目標の200件以下が初めて達成されそうです。10年前は376件に比べて半数近くになっています。交通マナーの向上という説明でした。よいことだと思います。
将来的には100件以下になるのではないでしょうか。しかし、自転車の事故は増えているようで、自転車の走行マナーの向上が求められています。
 犯罪では、振り込め詐欺が相変わらず多いようですが、今年目立っているのは空き巣の増加ですでに15件発生しており、白金、白金台の一戸建ての住宅が狙われているようです。
 気をつけましょう。
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新内浄瑠璃の発表会を見に行きました

2012-09-03 09:53:36 | 高輪地区のできごと
今日は、地域の方々と新内浄瑠璃の発表会「ゆかた会」に行きました。
新内浄瑠璃を20年以上もお稽古をされているアメリカ人のステフアニーさんのご招待です。
新内浄瑠璃は江戸時代鶴賀新内が始めたもので、吉原などで演じられた庶民の芸術です。
ステファニーさんの出し物は「葛の葉」で、声がきれいでよく通り、外国人がよくこんな日本の微妙な節回しのある芸術をマスターしたかと驚きました。
その後は八王子に伝わる車人形劇「弥時喜多」が上演されました。新内節に乗り、細かな動作を黒子が人形で表現する素晴らしいものでした。笑いを誘うストーリーが見る人をあきさせない、まさに庶民の伝統芸術です。
終わった後は神楽坂で見に来た地域の人たちと飲み会です。神楽坂は日曜日の夜でも多くの店が営業しており、メインストリートは一方通行にして歩道を広くして、ほんとに歩きやすい。二本榎の通りも
一方通行にして歩道を広くすれば活気がでるのではとの話題がでました。(文責安藤)


左がステファニーさん 三味線演奏は鶴賀若狭掾氏(人間国宝)

車人形 弥次喜多
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