港区まち創り研究会(まち研)ブログ

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一郎・と志 書簡集「馬橇の鈴の音」第3回

2014-08-19 08:01:14 | 一郎・と志書簡集から
村の人たちと地方の生活 (と志から一郎へ)   昭和20年8月17日

 7月29日、8月13日の便りありがとうございました。ご無事の由、安心しました。
もうここまでくれば命は大丈夫ですね。東京はどうなっているのでしょうね。マッカーサーが乗り込んでくるという噂もあり、パパは通訳に動員されるのではと心配しています。
遠く離れていて、このあたりはいたって呑気です。
今日は、8月残りと9月分のお米が配給になると知らせがあり、まず食糧は大丈夫です。
昨日は朝から晩まで庄屋さんの家に手伝い、3人でお昼も晩もご飯をご馳走になりましたので、とうとう一日少しもお米を使いませんでした。
 その上、とても大きい「あいなめ」のようなお魚を焼いて持ってきてくれ、リンゴも小さいのを10個位もらいました。とてもおいしいお魚でした。お味噌もあげましょうと言っていました。お盆が終わったらまた手伝ってくださいと言われたので、また行きます。
 先にいくと人手が余ってくるでしょうから、今のうち手伝ってお米を残したいと思います。
 子どもたちは、おばあさんが預かっていてくれますし、何と言ってもよいのです。一昨日は私ども5人の手伝いでしたが、昨日からは私一人です。一汗かいて、お嫁さんと二人でリンゴをかじっています。とてもおいしいです。
 新聞を見ても食糧はあまりよくなりそうもないし、急には東京には帰れないでしょうから食糧と薪は冬の支度をして置く方がよいでしょうね。
 炭なども庄屋さんが助けてくれそうです。こたつのやぐらは貸しますから、作るのはよしなさいといいました。子どもの洋服をほしがっているようですから作ってあげようと思っています。
日用品、衣料などはだんだんでてくるとおもいますが、どうでしょう。物価は高くなりでしょうね。
 こちらでは、皆、最後の一弾まで打ち尽くして降参すべきだなどと言っておりますのに、専蔵さんばかりは、こっちはそう被害がなかったから、そう思うだろうが、西の方は相当なのだからいたしかたないだろうと言い、出直すんだなと言うと、それが許されないと言っています。淋しそうですが、少しの批判も不平も言わず静かです。馬鹿くさいといって皆働かない時でも、一人だまって休まず働いています。私もその落ち着きぶりに感心しました。この頃は、誰もせっせと働いています。

 母が八戸市の村の人たちにうまくとけこんで、大きな地主さんのお手伝いして食糧を確保している様子が書かれている。母の適応力、生活力のたくましさに感心する。
 と同時に、非常時によそ者を受け入れてくれる村の人たちの温かさが身にしみる。
 また、村にもしっかりした人物がいて、敗戦になっても落ち着いて仕事をし、皆の手本になっていることが書かれている

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