港区まち創り研究会(まち研)ブログ

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世界の街から7 イギリスのニュータウン テームズミード

2011-07-16 22:01:01 | イギリスの街から
計画的な街の一つの例として、イギリスのニュータウン、テームズミードのご紹介をします。私がテームズ・ミードを訪れたのは、およそ40年前でちょうど完成したばかりであった。(写真はその時撮影された古いもので恐縮ですが。)
テームズ・ミードは、ロンドンの南およそ10km、テームズ川沿いの位置にあり、計画人口60,000人、1970年に完成された。建築家により計画的につくられた日本でいうベッドタウンである。歩く部分と車の走る部分を立体的に分離し、2階の広いデッキはすべて歩く人に開放している。イギリス流の歩車分離を徹底した街である。
世界にはこんな素敵な街があるのかと感動したのを今でも覚えている。


テームズミードのマスタープラン。3期に分けて建設された。
・のびのびとした安全な歩行空間

車と人の立体分離

子供が安心して遊べる広いデッキ

乳母車も快適に走行できる

近隣店舗地区
 2階の広いデッキは完全な歩行者のための空間となっていて、子どもが遊んでいても不安を感じないし、乳母車なども快適に走行できる。このデッキは都市全体をつないでいる。
 歩行者と車の立体分離の考え方は、その後、日本にも駅前広場の整備などにもとりいれられている。

・集合住宅の多様な形態とデザインの質の高さ






 40年前の日本の集合住宅のデザインは、いわゆる公団アパートの形態が主流であったため、このニュータウンの集合住宅の多様な形態とそれぞれのデザインの質の高さに目をみはるような驚きであった。

・水を生かしたデザイン





 テームズ河の水を都市に引き込んで広い池をつくり、その水辺空間が都市の魅力となっている。日本では、安全のため、なかなか実現できないと思われる。

・ニュータウンのその後
 最近、あるブログでこのテームズ・ミードを訪れた記事があったが、近年、かなり荒廃しているようだ。あちこちに落書きがあり殺人事件も起きている。人口も減っているようだ。イギリスの複雑な社会事情などが背景となっているようだが、都市のコミュニティが育たず、管理がうまくいっていないことに起因している。
 どんなよい器があっても、住むのは人間であり、きちんとしたコミュニティが育たなければ、都市は崩壊する危険があるということを感じた。
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