今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

1024 岡山(岡山県)穏やかな街に激しい商戦が

2022-04-26 13:20:13 | 岡山・広島
岡山駅からまっすぐ西へ延びる「桃太郎大通り」は、岡山のメインストリートなのだろう、駅前広場から桃太郎が望むのは、大通りの先のお城である。私は2010年2月と2011年4月にこの街に来ているから、ほぼ11年ぶりの再訪だ。路面電車が行き交う大通りの風景は、記憶の岡山と変わりないのだが、どこか「綺麗になった」という印象だ。どこが変わったのだろうかと見回すのだが、よくわからない。この間の岡山に、何があったのだろう。

(桃太郎大通り 2010.2.22)

岡山市は2009年4月、18番目の政令市に指定され、自治の権限が大幅に増えた。隣接2町と合併、人口70万人という要件を超えたのだ。つまり私が訪れたのは、新生・岡山市がスタートしたばかりのころになる。駅前の、かつてデパートや大型スーパーが入居していたビルは大型店が撤退し、燻んでいた。大通りには空き地が散見され、その幾つかにマンションが建ち始めていた。全体に、活気というより地方都市特有の寂れを感じたのだった。

(桃太郎大通り 2022.4.4)

10年余を経て、街は明るく綺麗になった。建設中だった高層マンションは、すでに風景に溶け込んでいる。駅前の商業ビルもそれなりに化粧直しをして、県都の玄関口としてさほど見劣りはなくなった。大通りの反対側にある高島屋は、「撤退が近いのではないか」という私の失礼な予測を裏切り、頑張って営業を続けている。そして何より驚いたのは、駅の近くの広大な土地に、ショッピングモールが新たに出現していたことだ。イオンモール岡山だ。

(イオンモール岡山=同社ホームページより)

食品スーパーを中核に、全国展開する衣料品や雑貨、家具などのテナントを入れ、シネマコンプレックスや文化ホールなどまで併設するこうしたモールは、米国発祥のビジネスモデルかと思われるが、概ね地方の郊外の、広大な駐車場を併設した施設で、マイカー所有の消費者をごっそり引き付け、旧来の商店街の空洞化を加速化させる存在である。それが市街地の真ん中に出現している。イオンが取り組む都市型モールの全国1号店なのだという。



何より驚きなのは、市街地に46000平米という広大な土地が確保できたことだ。調べると「林原」の本社・工場跡地だった。岡山資本の企業といえば、林原と福武書店、それにカバヤ食品くらいしか知らない私だが、なかでも林原は、水アメ製造商店から世界のバイオ企業になった謎めいた同族会社だと注目していた。ところが2011年、あっけなく経営破綻し、駅南の一等地が処分されたのである。岡山経済にとっては仰天の騒動だっただろう。



岡山市には表町という従前の商店街がある。旧山陽道沿いの江戸時代からの商人町で、長いアーケードで結ばれた中心部に地元資本のデパート天満屋がある。広島の本通商店街や熊本の上通り下通りを思い出させる、散歩が楽しい街だ。郊外からのバスはここのステーションに集結するようで、一帯は「天満屋王国」のような気配がある。だが駅前の新モールは初年に1800万人の買い物客を吸収したといい、人の流れは奪われているのだろう。



政令市・岡山は、人口もGDPも静岡市と似て下位グループだ。しかし岡山市は、隣接する倉敷市を含めた都市圏の人口は150万人を超える。東京と名古屋に挟まれ、人口流出に悩む静岡に比べ、活気ある街づくりの可能性は岡山市が高いのかもしれない。穏やかに鄙びた印象のこの街で激しい商戦が展開され、次の10年はもっと変化しているだろう。駅と表町の中ほどにある岡山料理「八文字」で、吉備と瀬戸内の旬を堪能した。(2022.4.1-4)













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