元徴用工側が「被害救済案」検討 日韓両政府に提示へ
韓国では、元徴用工の問題を巡って国家が融解するかのような状態に陥っております。三権分立の原則を厳守する立場から韓国政府は問題の解決を司法に丸投げする形となったのですが、先日の李洛淵首相による‘政府の限界発言’を受けてか、原告団が独自の解決案を日韓両国に政府に提示する方針を示しているようです。
同原告団が提示するものと予測される解決案とは、両国政府、並びに、最高裁判所から賠償を命じられた日本企業が合同で救済基金を設立し、同基金から原告被害者に対して償い金が支払われるとものなのでしょう。報道では、解決案は年内を目安としてこれから作成されるかのように報じられておりますが、実際には、同案は日韓両国において既に広く知られていますので、当初の計画通りにスケジュールを進めているものと推測されます。
同訴訟に見られる原告団の作戦の中心となるのは、徹底した司法制度の利用です。上述したとおり、近現代国家の統治機構の特色の一つは権力の分立にあります。特に原告団が目を付けたのは同原則に基づく‘司法の独立’であり、司法権を利用すれば、政府(行政権)や議会(立法権)から介入を受けることなく、自らの要求を実現できると考えたのでしょう。つまり、‘司法の独立’を、対日関係において日本国との間で韓国政府が締結した条約や協定に拘束されない立場を得るために体よく利用したのです。韓国政府も、原告団と申し合わせたかのように同問題から身を引いており、条約法条約にも明記されている合意順守等の原則を以って抗弁することも、政治分野への司法介入の限界を示す統治行為論を持ち出すことも、司法の暴走を抑制するためのチェック・アンド・バランスを働かせることもしませんでした。
そして、原告側が頻繁に使用しているもう一つの司法利用の方法は、裁判所からの‘お墨付き’を得ることで自らの要求に法的強制力を付与することです。法的効力を有する判決という形に転換できれば、強制執行も可能となるからです。実際に、韓国の裁判所が在韓日本企業資産の接収や売却を実行すれば、日本国の民間企業ではなす術がありません。今後、原告団から提案される解決案も、韓国最高裁判所がこれを認めれば、和解勧告の形態を採る可能性もあるのです。
向かうところ敵なしのような勢いの原告団なのですが、果たして、この戦法、国際社会では通用するのでしょうか。確かに、賠償命令を受けた日本企業の在韓資産については、強制力を以って処分することはできるかもしれません。しかしながら、日本国政府や日本企業に対して救済基金への拠出を強制できるのか、と申しますと、これは、無理と言わざるを得ません。日本国政府や日本企業が同提案を拒絶すれば、原告側はお手上げとなります。そして、何よりも原告側にとりまして高い壁となるのは、1965年に日韓の間で締結された日韓請求権協定の存在です。日本国政府は、同協定に定められた仲裁手続き、さらには、ICJや常設仲裁裁判所等での司法解決を求めることでしょう。解決の場が国際司法のレベルに移りますと、韓国国内とは違い、原告側は、自らの思惑通りに司法を操縦することは最早叶わなくなります。そもそも、国際司法制度においては民間人には原則として原告適格を認めていませんので、同問題については、韓国政府が表舞台に立たざるを得なくなるのです。
もっとも、WTOの上級委員会が下した奇妙な判断のように、国際司法機関が常に公平で中立的な判決を示すとは限りません。韓国側は、国際レベルでも‘韓流’を以って司法機関に働きかける可能性もあり、油断は禁物とも言えましょう。日本国政府は、今度こそ、万全の準備を整え、国際司法の場で韓国原告団に翻弄されてきた‘徴用工問題’の決着を付けるべきなのではないかと思うのです。
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韓国では、元徴用工の問題を巡って国家が融解するかのような状態に陥っております。三権分立の原則を厳守する立場から韓国政府は問題の解決を司法に丸投げする形となったのですが、先日の李洛淵首相による‘政府の限界発言’を受けてか、原告団が独自の解決案を日韓両国に政府に提示する方針を示しているようです。
同原告団が提示するものと予測される解決案とは、両国政府、並びに、最高裁判所から賠償を命じられた日本企業が合同で救済基金を設立し、同基金から原告被害者に対して償い金が支払われるとものなのでしょう。報道では、解決案は年内を目安としてこれから作成されるかのように報じられておりますが、実際には、同案は日韓両国において既に広く知られていますので、当初の計画通りにスケジュールを進めているものと推測されます。
同訴訟に見られる原告団の作戦の中心となるのは、徹底した司法制度の利用です。上述したとおり、近現代国家の統治機構の特色の一つは権力の分立にあります。特に原告団が目を付けたのは同原則に基づく‘司法の独立’であり、司法権を利用すれば、政府(行政権)や議会(立法権)から介入を受けることなく、自らの要求を実現できると考えたのでしょう。つまり、‘司法の独立’を、対日関係において日本国との間で韓国政府が締結した条約や協定に拘束されない立場を得るために体よく利用したのです。韓国政府も、原告団と申し合わせたかのように同問題から身を引いており、条約法条約にも明記されている合意順守等の原則を以って抗弁することも、政治分野への司法介入の限界を示す統治行為論を持ち出すことも、司法の暴走を抑制するためのチェック・アンド・バランスを働かせることもしませんでした。
そして、原告側が頻繁に使用しているもう一つの司法利用の方法は、裁判所からの‘お墨付き’を得ることで自らの要求に法的強制力を付与することです。法的効力を有する判決という形に転換できれば、強制執行も可能となるからです。実際に、韓国の裁判所が在韓日本企業資産の接収や売却を実行すれば、日本国の民間企業ではなす術がありません。今後、原告団から提案される解決案も、韓国最高裁判所がこれを認めれば、和解勧告の形態を採る可能性もあるのです。
向かうところ敵なしのような勢いの原告団なのですが、果たして、この戦法、国際社会では通用するのでしょうか。確かに、賠償命令を受けた日本企業の在韓資産については、強制力を以って処分することはできるかもしれません。しかしながら、日本国政府や日本企業に対して救済基金への拠出を強制できるのか、と申しますと、これは、無理と言わざるを得ません。日本国政府や日本企業が同提案を拒絶すれば、原告側はお手上げとなります。そして、何よりも原告側にとりまして高い壁となるのは、1965年に日韓の間で締結された日韓請求権協定の存在です。日本国政府は、同協定に定められた仲裁手続き、さらには、ICJや常設仲裁裁判所等での司法解決を求めることでしょう。解決の場が国際司法のレベルに移りますと、韓国国内とは違い、原告側は、自らの思惑通りに司法を操縦することは最早叶わなくなります。そもそも、国際司法制度においては民間人には原則として原告適格を認めていませんので、同問題については、韓国政府が表舞台に立たざるを得なくなるのです。
もっとも、WTOの上級委員会が下した奇妙な判断のように、国際司法機関が常に公平で中立的な判決を示すとは限りません。韓国側は、国際レベルでも‘韓流’を以って司法機関に働きかける可能性もあり、油断は禁物とも言えましょう。日本国政府は、今度こそ、万全の準備を整え、国際司法の場で韓国原告団に翻弄されてきた‘徴用工問題’の決着を付けるべきなのではないかと思うのです。
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