万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本国政府は独自の災害アプリの作成を

2019年05月14日 17時04分08秒 | 日本政治
報道に拠りますと、日本国政府は、2021年の開始を目途に地震等の発生時に際して無料対話アプリの利用を計画しているそうです。同プランには、防災科学技術研究所、ウェザーニューズ、情報通信研究機構等も協力するとのことですが、この計画、幾つかの問題を孕んでいるように思えます。

 第1の問題点は、日本国政府が、メッセージアプリという民間事業のLINEによる独占を誘導する点です。対話アプリ事業はプラットフォーム型のビジネスであり、こうしたタイプの事業は、一旦、人々のコミュニケーション手段としてプラットフォームが敷かれてしまいますと、新規参入が極めて困難とされています。それでも、全く参入の扉が閉ざされているわけではないのですが、政府が災害用に利用するとなりますと、国民の多くは新規事業者への乗り換えには消極的となることでしょう。つまり、事実上、日本国政府はLINEに対して独占の特権を与えているに等しく、一民間企業に対して便宜供与を図っていることとなるのです。

 第2の問題点は、LINEの国内利用者は7000万人とされるとはいえ(NTTドコモ等が端末にLINEのアプリを予めダウンロードして販売したため?…)、1億3000万人の日本国の人口数からしますと、残りの6000万人は同サービスを受けることができません。同サービスの内容とは、「状況はどうですか」といったチャットポットの問い掛けに対して、利用者が被害状況を示すメッセージや写真を送信するというものです。おそらく、被災者が負傷していたり、倒壊家屋の下敷きになって閉じ込められているようなケースには、自治体が救護や救出に向え得るシステムなのでしょうが、不利用者は、取り残される、即ち、救護や救援の対象から外され、自治体に見殺しにされることを意味します。これでは、憲法が定める法の前の平等の原則に反しますし、LINE使用者しか公的な支援を受けられなかったとなりますと、6000万人の不利用者から抗議の声が上がるかもしれません。

 同サービスの問題点は、利用者と不利用者との間の不平等や不公平にとどまるわけではなく、利用者の間でも同様の問題が持ち上ることでしょう。第3点として挙げられるのは、利用者から寄せられた「対応すべき情報」の間で優先順位を決めなければならない点です。実のところ、この作業は、‘誰を優先して援け、誰を放置するのか‘という、命の優先順位を決めるに等しい難しい問題です。若年者を優先することには異論はないのでしょうが、赤ちゃんや幼年期の子供達はLINEを自ら使用することはできませんので、保護者等が傍にいなければ取り残されてしまう可能性もあります。優先順位の決定にはAIをも活用するそうですが、同程度の緊急性を有する情報が同時に多数寄せられた場合、後回しにされた人々は、LINE不使用者と同様に政府、あるいは、自治体を非難することでしょう。

 以上に主要な問題点を挙げてみましたが、韓国の反日政策が激化する中、日本国政府をはじめ公的機関がかくも韓国系の企業であるLINEを優遇するのか、不思議でなりません(情報も資金も韓国側に流出する…)。アプリの作成は、中学生でも簡単にできるそうですので、少なくとも、日本国政府自体が災害対策用として自らで独自の対話型のアプリ、あるいは、双方向性を有するサイトを開発すべきなのではないでしょうか(自治体の防災方式ホームページでは一方的な情報提供になる…)。そして、自治体への情報提供のツールとなる端末に関しては、スマートフォンに限定せず、PCや従来型の携帯電話、さらには固定電話といった様々な通信手段を網羅し得るよう、工夫を凝らすべきではないかと思うのです。

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コメント (4)
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