報道に拠りますと、厚労省の幹部が自民党議員連盟会合において業種別に最低賃金を全国一律化する考えを示したそうです。おそらく、ここ数年来、地方経済の活性化が叫ばれながら人口減やシャッター街の増加に歯止めがかからない現状に鑑みて、地方の賃金レベルを上げればこれらの傾向を止められると考えたからなのでしょう。しかしながら、今日における経済のグローバル化現象を考慮しますと、必ずしも同省の思惑通りには政策効果が現れない恐れもあります。
首都圏等の都市部と比較しますと地方の物価水準は低く、この状況下にあって最低賃金を上げますと、地方への移住を考える都会の住民も多数現れるかもしれません。賃金が同一であれば、食品等の価格が安い地方で生活する方が豊かになるからです。この点に関しては、最低賃金の一律化は地方移住へのインセンティブを与えることでしょう。
その一方で、企業の経営者の視線から見ますと、最低賃金の一律化は全く逆の効果、すなわち、地方への拠点の移転を抑制してしまう効果をもたらすように思えます。そもそも、地方経済の衰退の原因の一つとして上がられているのは、生産拠点の海外移転です。かつては都市部と比べて賃金水準が低いことを理由として、日本企業の多くが生産拠点等を地方に設けていました。企業の地方進出が地方経済を支え、かつ、全国レベルで日本経済を活性化させるという好循環が成り立っていたのです。しかしながら、グローバル化の時代を迎えますと、国内の生産拠点を維持するよりも、中国やその他の新興国に移転した方が人件費を低く押させることができるため、企業は、国内の地方から海外へと生産拠点を移転させたのです。
こうした地方経済の衰退原因が生産拠点の移転にあった点を考慮しますと、最低賃金の全国一律化は、この傾向に拍車をかける可能性があります。各地方自治体とも、企業誘致に熱心に取り組んでいますが、地方における賃金レベルの上昇は、誘致にはマイナスの方向に作用します。すなわち、たとえ法定の賃金が数字の上で上がっても、雇用の場が確保される、あるいは、増加しなければ、政策効果としては意味がないこととなるのです。最悪の場合には、地方からのさらなる企業撤退と海外移転を促進しかねないのです。
同政策は、上記の点の他にも様々な角度からその実現が危ぶまれておりますが、もしかしますと、真の意図は別のところにあるかもしれません。事実上の移民政策が4月1日から始まっていますが、本当のところは、外国人労働者を地方に誘導するための政策である可能性も否定はできないのです。政府は、都市部への外国人労働者の集中を避けるために、地方への分散移住をさかんに訴えていたからです。最近、政府が推進する政策には、表向きの理由とは異なり、国民の利益に反するケースが多々見受けられますが、最低賃金の全国一律化もまた、疑って然るべき政策のように思えるのです。
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首都圏等の都市部と比較しますと地方の物価水準は低く、この状況下にあって最低賃金を上げますと、地方への移住を考える都会の住民も多数現れるかもしれません。賃金が同一であれば、食品等の価格が安い地方で生活する方が豊かになるからです。この点に関しては、最低賃金の一律化は地方移住へのインセンティブを与えることでしょう。
その一方で、企業の経営者の視線から見ますと、最低賃金の一律化は全く逆の効果、すなわち、地方への拠点の移転を抑制してしまう効果をもたらすように思えます。そもそも、地方経済の衰退の原因の一つとして上がられているのは、生産拠点の海外移転です。かつては都市部と比べて賃金水準が低いことを理由として、日本企業の多くが生産拠点等を地方に設けていました。企業の地方進出が地方経済を支え、かつ、全国レベルで日本経済を活性化させるという好循環が成り立っていたのです。しかしながら、グローバル化の時代を迎えますと、国内の生産拠点を維持するよりも、中国やその他の新興国に移転した方が人件費を低く押させることができるため、企業は、国内の地方から海外へと生産拠点を移転させたのです。
こうした地方経済の衰退原因が生産拠点の移転にあった点を考慮しますと、最低賃金の全国一律化は、この傾向に拍車をかける可能性があります。各地方自治体とも、企業誘致に熱心に取り組んでいますが、地方における賃金レベルの上昇は、誘致にはマイナスの方向に作用します。すなわち、たとえ法定の賃金が数字の上で上がっても、雇用の場が確保される、あるいは、増加しなければ、政策効果としては意味がないこととなるのです。最悪の場合には、地方からのさらなる企業撤退と海外移転を促進しかねないのです。
同政策は、上記の点の他にも様々な角度からその実現が危ぶまれておりますが、もしかしますと、真の意図は別のところにあるかもしれません。事実上の移民政策が4月1日から始まっていますが、本当のところは、外国人労働者を地方に誘導するための政策である可能性も否定はできないのです。政府は、都市部への外国人労働者の集中を避けるために、地方への分散移住をさかんに訴えていたからです。最近、政府が推進する政策には、表向きの理由とは異なり、国民の利益に反するケースが多々見受けられますが、最低賃金の全国一律化もまた、疑って然るべき政策のように思えるのです。
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