Side Stepsバンド内では通称「VOS(ボス)」と呼ばれるこの曲、既出「Latin’07」や「Another Encounter」、「Broken Wave」と同じ、2007年3月17日吉祥寺シルバーエレファントでのライブ映像になります。オリジナル盤のVOS(Valkyrie of Sorrows)は自主制作盤「Against the Wave」収録、ライブではドラムソロ等のアレンジを若干変えながら、これまで幾度となく演奏してきました。この曲はギターとベースのユニゾンが多いため、最初のピアノソロ部分ではギター、ベースともに(それを聞かずに)一心不乱にチューニングしているのに注目です(笑。SSでは譜面上でソロパートによく「Battle」と書かれていることが多いのですが、テンポアップした(ように聞こえる)中間部にまさに各楽器のバトルがごとく、アドリブソロ回しが行われます。野暮を承知の上で曲の詳細を解説しますが、この曲ではメトリック・モジュレーションという手法が使われています。メトリック・モジュレーションとは元の楽曲のテンポを変えることなく、別のテンポへ切り替わったように聴かせる、あるいは前後のテンポに関連性を持たせた上でテンポ・チェンジすること。VOSでは曲の前半と後半はゆっくり、中間部がテンポアップしたように聞こえますが、中間部の2拍3連の音価が前後半の1拍の音価に等しくなっている…と思われます(恐らく…多分…笑)。2拍3連も自体もSSでは非常にポピュラーですが、一般的にはそれさえマニアック?なようにも思います。SSでは練習でクリックを鳴らして練習することが多く、それはいつも脳天に刺さる音かつバンド音量以上の大音量(でないと聞こえない)なのですが、この曲ではドラム府川氏がテンポの違うソング・クリックを2つ用意。それを手動で切り替え操作してテンポチェンジしながら曲を練習していた記憶があります。前半テンポA→中間部テンポB→後半テンポAとそれぞれ切り替える瞬間にいつもドラムがどうしても一瞬止まるのですが、その止まり具合も体が覚えてしまいました…さすがにライブ本番では止まることはありません。このようにトリッキーなのは演奏している本人達も同様でありまして、今回の伊東氏による映像編集では演奏者の手元だけでなく、時折みせるちょっとした表情もフォーカスされています。とても良い感じに仕上がっていますと思いますので、ぜひその点も注目してお楽しみください。
SideSteps ALIVE3 Valkyrie of Sorrows