共産党の志位委員長が事業家や経営者向けに行った講演要旨が月刊『経営塾フォーラム』(11月号)に載っています。格差・貧困問題について話した部分で社会保障の原理的考えについて、朝日訴訟を取り上げ次のように話しています。
――その『朝日訴訟』では、1960年の東京地裁判決ですばらしい判決が出ているんですね。そこにはこういう一文があります。『憲法25条にいう〈健康で文化的な生活〉は、国民の権利であり、国は国民に具体的に保障する義務がある。それは予算の有無によって決められるのではなく、むしろこれを指導支配しなければならない』
これはまさに、本当に深く憲法25条の精神をとらえたものだと思います。すなわち、国民の皆さんからいただいた大事な税金は、まず社会保障に使うということ。『指導支配』という言葉はそういう意味です。そのうえで残ったお金で他の仕事をやるべきだと。それが25条の精神だというものでありまして、私は、これは不滅の金字塔というべき判決だと、いまでも思っております。
何のために国があるんだろう、国民は何のために税金を払っているか考えると、やはり公正な社会、人々が安心して暮らせる社会のために税金を払っている。そのいちばんの根本は社会保障です。ここに最優先してお金を配分するというのは、まず政治の根本姿勢でなければならないと、私たちは考えています――
憲法25条の精神から導き出された「指導支配」という言葉。初めて知った言葉です。でもこの言葉、すごく今の日本に当てはまる、何よりも最優先に考えなきゃいけない理念じゃないかと、とてもインパクトのある言葉だと思います。この言葉が発せられてすでに48年、でも日本の政治は未だそれに応えてはいないのですね。