1曲目は「川よ」。高石ともやさんが1986年に作った歌です。昔の仲間たちと集まった時、ふと時間が止まってしまうように感じることがあります。でも時代は確実に未来に向って進んでいます。日々の暮らしの中にはとてもいろんなことがあって、なかなか思うようには進みません。時には先が見えにくく、いやこの今の瞬間さえ見えていないこともあるでしょう。そんなときこの歌のように少しゆったりとした気分で、いられる時間を持つことはとても大切なように思うのです。
2曲目は「平和に生きる権利」。作者はビクトル・ハラです。ちょうど今年が生誕70周年、生きていればの話です。1960年代にラテンアメリカで広がった「新しい歌」運動の中心人物で、チリのアジェンデ人民政府のテーマ曲ともいえる「ベンセレーモス(我々は勝利する)」の作曲者でありチリ共産党の党員でした。人民政府ができて3年あまり、その転覆を狙うアメリカの支援の受けたピノチェト率いる軍隊のクーデターで多数の人々とともに虐殺されました。その時彼はサンチェゴ市内のスタジアムに集められた人々を励ますためにギターを弾き「ベンセレーモス」を歌い始めましたが、ピノチェト軍の兵士にギターを取り上げられ、それでも屈することなく手拍子をしながら歌を歌いました。人々が彼に呼応し歌い始めましたが、彼はその両腕も銃でたたきつぶされて撃たれて殺されてしまいました。その後ピノチェト軍事政権下では歌を歌うことが禁止されたそうです。
その彼が当時、アメリカと戦っていたベトナムの人々のために作った歌がこの歌です。ベトナムに敗北したアメリカはその後も世界各地で戦争を引き起こしてきましたし、今現在もイラクやアフガンなどで戦争を続けています。そのアメリカに盲従する政府と軍隊のある国に私たちは生きています。決して過去の歌ではない、今も歌い継がれねばならない歌だと思います。