河村顕治研究室

健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究に取り組む研究室

バイアウト制度の導入

2020-09-16 | 大学
科研費申請を担当している事務の方から「バイアウト制度について」という相談メールを数日前に受け取った。

来年度の科研費募集が始まっており、月末には学内で科研費申請の説明会を実施しなくてはならないのだが、どうも来年度から「バイアウト制度」が導入されることになるらしいのだ。

「バイアウト」という言葉は、半沢直樹のような番組で企業買収するというようなときに使われていたのを聞いたことがあるが、ここで言う「バイアウト制度」というのは「競争的研究費の直接経費から研究以外の業務の代行に係る経費を支出可能とする」ことらしい。

経済用語では「バイアウト」は買収を指す言葉だが、研究費における「バイアウト」は研究以外の講義などの業務の代行を自分の持っている研究費で買い取ることを指すらしい。


私は、若い頃アメリカに留学したのだが、その時一番驚いたのがアメリカの研究者は自分の獲得した研究費で自分の生活費もまかなっているらしいと言うことだった。

一番主要な研究費はNIHのグラントだが、一流の研究者は数億円の研究費を獲得して、その中から自分のものも含めた人件費や大学の研究室の賃料など一切合切をまかなうとのことだった。

これは研究を遂行するには非常に効率的なシステムだが、いったんグラントが取れなくなると研究がストップするだけでなく、研究者自身の生活もストップすると言うことを意味している。

アメリカでは研究費が獲得できるかどうかに文字通りすべてがかかっているのである。

優れた研究成果の創出に当たっては、研究者が研究に専念できる研究環境が不可欠であるが、大学等研究者の研究に充てる時間割合は減少傾向であり、研究に従事できる時間の確保が急務である。

そこで、アメリカのように競争的研究費の直接経費の使途を拡大し、研究代表者本人の希望により研究機関と合意することで、その者が担っている業務のうち研究以外の業務(講義等の教育活動等やそれに付随する事務等)の代行に係る経費の支出を可能とする制度(バイアウト制度)を導入することにより、研究プロジェクトに専念できる時間の拡充が可能となり、当該研究プロジェクト の一層の進展が期待されるということになったのだそうだ。
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