ーある愛へと続く旅ーVENUTO AL MONDO/TWICE BORN
2012年 イタリア/スペイン 129分
セルジオ・カステリット監督 マルガレート・マッツァンティーニ原作 ペネロペ・クルス(ジェンマ)エミール・ハーシュ(ディエゴ)アドナン・ハスコヴィッチ(ゴイコ)サーデット・アクソイ(アスカ)ピエトロ・カステリット(ピエトロ)ジェーン・バーキン(精神分析医)
【解説】
『赤いアモーレ』原作のマルガレート・マッツァンティーニの小説が基になったドラマ。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争で夫を亡くしたローマ在住の女性が、同国への再訪を機に彼から向けられていた大きな愛を改めてかみ締める姿を見つめる。主役となる夫婦に、ペネロペ・クルスとのエミール・ハーシュ。監督を務めるのは、原作者の夫でもある『赤いアモーレ』のセルジオ・カステリット。壮大かつ感動的な物語に加え、ヒロインの女子大生時代から中年期までを見事に体現したペネロペの熱演も見ものだ。
【あらすじ】
サラエボで運命的な出会いを果たし、夫婦となったジェンマ(ペネロペ・クルス)とディエゴ(エミール・ハーシュ)。切望する子どもが望めなかった彼らは代理母候補を探し出し息子ピエトロを授かるが、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争が勃発する。息子を連れて難を逃れたジェンマだが、ディエゴだけが街に残って命を落としてしまう。それから16年後。ローマで暮らしていたジェンマは、サラエボ時代の友人に誘われてピエトロと一緒にボスニアへ向かう。街の風景を眺めながら、ディエゴとの深い愛を思い返す彼女だが……。(シネマトゥデイ)
【感想】
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争をテーマに作られた作品は、辛いものが多くて、あまり見たくないと思うのですが、この作品はエミール・ハーシュに引かれてみることにしました。
ジェンマ(ペネロペ・クルス)の亡くなった夫ディエゴ(エミール・ハーシュ)の「写真展をやるから、息子を連れていらっしゃい」とサラエボの旧友のゴイゴ(アドナン・ハスコヴィッチ)から電話があった。
サラエボがまだ平和で、冬季オリンピックを開催するという時代に、学生だったジェンマはサラエボを訪れ、アメリカ人カメラマンのディエゴと出会い、恋に落ちて、生まれ故郷のローマで結婚する。
子供に恵まれず、そのことが原因で神経質になり、夫婦関係も危機に陥ったとき、サラエボの友人たちが戦争に巻き込まれ困っているというので、物資を届けにサラエボに入った。
その時、代理母を申し出たアスカ(サーデット・アクソイ)。
でも、戦争は激しさを増し、病院での不妊治療は無理だった。
そこで、村はずれの1軒屋でディエゴとアスカは、代理母契約を結んだ状態のセックスを試みる。
しばらくして戻って来たディエゴは、ジェンマに「できなかった」と告げた。
ローマに戻った二人。
ディエゴのサラエボの写真は絶賛されて、有名になったが、ディエゴの精神状態は最悪だった。
再びサラエボに戻ったディエゴ。
あとを追うジェンマ。
サラエボでは、お腹の大きなアスカに寄り添うディエゴの姿が。
アスカは産気づき、男の子を出産。
生まれたばかりの赤ん坊を抱いて、ジェンマは軍のヘリコプターで脱出したが、ディエゴはサラエボに残った。
しばらくして、ディエゴは自殺したとの報が…。
ジェンマは、脱出の時力になってくれた軍人と結婚し、男の子ピエトロを育てていた。
このたび、成長したピエトロを連れてサラエボにやって来た。
思春期の難しい年頃のピエトロはなにかにつけ反発する。
どこまで話していいものやら…ジェンマは迷っていた。
でも、サラエボにはジェンマも知らなかった真実が待っていたのだった。
☆ネタバレ
この結末…、釈然としない。
アスカを助けて、なぜ、ディエゴは自殺してしまったんだろう?
アスカの首の傷にバラの彫り物を入れて、アスカの傷の痛みを消してあげたディエゴは、いろんな贖罪のために自らの命を断ったのかもしれません。
暴力を見て見ぬ振りをした子供時代、子供なんだから仕方がないのに、それだけ暴力は心を傷つけるのですね。
そして、アスカに対する暴力を隠れてみることしかできなかった自分を責め、今回は行動を起こしたけど、それだけでは、自分を許すことができなかったのでしょうね。
ピエトロは何も知らないけど、運命の子として、強く生きていって欲しいものです。
それがこの映画の希望かな?
何のための戦争だったのか?
やはり、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争をテーマに作られた作品は辛い。