レモングラスを刻むオバチャン

レモングラスを刻むオバチャン  2009.8.30. 金森正臣

 カンボジアには、雑草の様にレモングラスが沢山ある。牛が嫌いだと言うので、ウシを入れたくない畑や家の周りに植えてあることもある。レモングラスは、日本の様にハーブティーにする習慣は無い。刻んだものは、多くは鍋や焼き肉の時に、肉に付けるタレに入れる。スープに入れる場合には、長いまま入っていて、硬くて食べられない。おまけにスープには生姜も入っていて、これもあまり美味しく無い。日本の生姜と異なり、繊維が硬い、辛いなど香料として使われていても食べられない。日本は鍋ものに、食べられないようなものはほとんど入れないが、カンボジアでは沢山入っている。湯豆腐の昆布などは、食べない人もいるが、良質の昆布なら食べて美味しい。

 レモングラスは、イネ科の植物で日本のススキに似ている。繊維は硬く縦に続いているので、刻まないと食べられない。根元のひげ根だけ取り、すぐ上の生長点の柔らかいところを使う。多くは、写真の様に束ねたレモングラスを、包丁の様に見える皮むき包丁(中央に割れ目があり片側に刃が付いている)で、ゴシゴシと1-2mmの厚さに押し切る。根元の方を数センチ使うだけで後はゴミ。普通はレストランでしているが、この写真は市場のオバちゃんが、大きなタライに刻み込んでいた。こうすれば手間が省けるので、良く売れるのだろう。肉に付けるタレに入れる程度だと、何百人分も有りそうだ。頭が痛いのか、コメカミに何か貼り付けて、市場のオバチャンは迫力満点。
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シダを食べる     

シダを食べる     2009.5.14. 金森正臣

 久しぶりに海岸の町、シアヌークビルに観察に出かけた。手前にあるレアム国立公園は、マングローブ林で知られた場所で、そこの見学もした。その際に見かけたのが、この光景。

 マングロ-ブ林には、ドロガニ(ノコギリガザミ:マングローブガニ)が沢山住んでおり、漁師たちはそれを目当てに漁をする。最近は取り過ぎてやや小型化しているように思われる。漁法も昔は、手掴みが主体であったが、現在は籠も使っている。このカニは、ハサミが大きく、美味い。しかしすごい力が有り、挟まれると手に穴が開いたりする。

 そこの漁師さんたちが、昼飯の準備をしており、マングローブに普通に見られる1-1.5メートルになるシダの若芽を煮ていた。海水も入る場所に出るこのシダは、満水時には根が海水をかぶっている。写真は、取って来たシダの若芽を小型の斧で切って、それを斧でつぶしてから鍋に入れた。そのまま食べる様であった。日本でも、山菜のコゴミなどはアクが無いので、茹でてそのまま美味い。どんな味がするだろうと興味が有ったが、まだ食べるには早そうだったので、あきらめた。

 東アフリカにも立派なワラビが有り、私は灰を使ってアク抜きをして食べていた。しかし地元には、アク抜きをする技術が無く、アフリカ人はたべていなかった。食の文化の多様性は、興味が尽きない。
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マンゴーの季節到来

マンゴーの季節到来      2009.3.26. 金森正臣

 朝の散歩のついでに、小さな市場に立ち寄ってみた。3月の終わりは、乾期が進み、野菜や果物が高くなってくる。オレンジやサトウキビは、水分が少ないために、甘みが増して美味い。しかし、パパイヤやクロチマ(ライム:日本のスダチの様な柑橘類で、主に酸っぱい果汁を利用する)は、雨期の終わりの3倍ぐらいに値上がりしている。

 マンゴーが沢山出てきていたので、値段を聞いて見たら、1個25円ぐらい。1ドルで4個。つい最近までその2倍はしていたので、つい買ってしまった。カンボジアには、5000リエル札があり、1.25ドル。マンゴー5個分。そんなに買うつもりはなかったが、5000リエル札を出したら、おばさんは有無を言わせず5個包んで渡した。なんとなく食い意地も手伝って、5個買ってしまったが、これを食べつくすのはなかなか大変。家で食事するのは、朝飯ぐらいだから、1個ずつ食べても、5日間かかる。毎年マンゴーが出始めるとつい嬉しくなって繰り返されるジレンマ。なかなか賢くはならない。マンゴーの季節は、5月ぐらいまで続く。
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ジャックフルーツ

ジャックフルーツ      2008.12.12. 金森正臣

 勤めている大学の構内には、数本のジャックフルーツの木がある。昨日突然、カウンターパートの一人が、ジャックフルーツを1Kgぐらい持ってきてくれた。もう10年にもなるけれども、これを貰うのは初めて。今までは、売って学内の経費に充てていたようだったが、多少余裕が出てきたかな。

 家に持ち帰り、夕食の前に覚悟を決めて挑戦。以前の家にいた時に大家さんからもらったことはあるが、その時にはクメール人の同居人がいたので、彼がやってくれた。ジャックフルーツは、樹液が多くなかなか難物。市場のおばさんたちは、手に油などをつけながら、粘らないように用心して取り出している。

 写真の黄色の部分が食べられる部分で、白い部分やでこぼこの表皮はたべられない。この表皮から可食部分を取り出すのがなかなか難しい。結構硬い表皮に覆われているので、ナイフは必需品。市場のおばさんたちは、中華包丁を鉈の様に使って、大きく分け、その後も中華包丁で切りだす。

 なかなか甘くて美味しいジャックフルーツだった。右側に見える勾玉の様なのが種。これを茹でて食べると、栗の様で美味しいい。
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朝の公園でのスナック売り

朝の公園でのスナック売り        2008.12.2. 金森正臣

 散歩に行く朝の公園で、おばさんが手作りの5色オコワを売っている。以前にも街の風景として紹介したと思う。もう数年になるが、毎朝6時半ごろから、たらいの様なアルミのボールにオコワを入れて頭に載せ、2-3の小道具を携えてどこからか来る。ココナッツの種子を4-5個。これを割って中の脂肪分のところを、ビール瓶の蓋を打ち付けた削り機で削る。丁度手ごろな太さに削れる。クレープ状の包む薄焼きを沢山持っていて、これにオコワを載せ、ココナッツの削ったものを載せ、砂糖をかけて小さなナイロン袋に入れて客に渡す。客も常連は、マメオコワにミドリオコワなどと好みがあるらしい。赤米のオコワもある。

 昨日試しに初めて買ってみた。単位は大体500-1000リエル(1ドル4000リエル)。クレープに包まない人もいるし、砂糖をかけない人もいる。何しろダイエットのために歩いている人が多いから。ざっと計算してみると、1000リエルの百食ぐらいは持っていそう。毎日ほぼ全部売れていると、売り上げは25ドルぐらい。残ればきっと家の前で、売っているのだろう。材料費が半分としても、もうけは12.5ドル。月に25日働くと、300ドルは超す。プノンペンは、最近物価の値上がりが激しい。それでも4人家族で、月200ドルあれば生活できると言われているから、おばさんの稼ぎは、十分一家を支えられる。よく見ると意外に身なりもいいから、金持ちかも。味は日本のオコワに近かった。
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マメの花を食べる           

マメの花を食べる           2008.11.29. 金森正臣

 カンボジアでも、マメの花を食べることを見つけた。朝の散歩の途中、公園で野菜を売っているおばさんがいた。そのおばさんの商品の中に、黄色いマメの花。左はクウシンサイ(空芯菜:最近日本でも売られている。熱帯の物はかなりアクが強い)、右は普通のタマネギ。マメ科の花であることは分かるが、種名は不明。

 マメ科の植物は、たんぱく質が多くて良好な食品。日本でも、フジの花やアカシア、クズなどの花を山菜として調理したことがある。いずれも美味しい食材で、フジやアカシアは、酢の物や吸い物にすると蜜の匂いも残る。アフリカでも幾種類かに挑戦してみたが、渋みがあってあまり美味くなかった。熱帯の物はだめかと思っていたが、カンボジアでは食べているようだ。どの様に調理しているのだろうか。
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今朝の朝食のイモ類

今朝の朝食のイモ類                 2008.11.23. 金森正臣

 雨期が終わりに近くなると、毎年様々なイモ類が市場に出てくる。今朝も市場に散歩がてら買い物に出かけた。市場の片隅で見慣れないイモを売っていたので、買ってみた。もちろん朝食にする見慣れたイモも買った。

 写真の手前にあるのは、カレーなどを食べる普通の大きさのスプーン。その脇にある白いイモ2本は、スイートキャッサバの皮をむいて蒸したもの。時計回りに、ムラサキイモ半分。次は小さなサツマイモ。次のタケノコ様の物は名前不明。次の白い肌は、サトイモの仲間のように見えるが、さにあらず。ついで生姜様に見えるのは、サトイモ様の物の皮つき。カンボジア人に言わせると、これらは皆「タロ」(タロイモ)と言うことになる。

 スイートキャッサバは、キャッサバの無毒のタイプ。カンボジアでは、毒のあるタイプは見たことが無い。アフリカでは、有毒のタイプが普通で、無毒のタイプは少ない。無毒のタイプを見つけると、掘って生でかじった。サツマイモの生の様な味で、水分がとれるから良いと、トラーカーたちは大好きだった。アフリカで有毒タイプが多いのは、他の動物に食べられてしまわないことと、収量が多いからと思われる。有毒タイプは、溜まり水に10日ぐらい浸けて発酵させて毒を抜き、その後に乾燥して粉にして食べる。クズモチの様な粘りがあり、発酵臭が残っている。
 次のさつまイモ2種は、日本とあまり変わらない味。ただし、ムラサキイモは沖縄の物より甘く、隣のサツマイモと変わらない。
 タケノコ様の名前の不明なものは、縦に強い繊維があって噛み切れない。かなりデンプン質を含んでいるが、何かのシュート(タケノコ様の芽)の様だ。ナイフで切っておかないと食べられない。しかし僅かに良い香りがあり、嗜好品だろうか。セルロースはいっぱい取れそう。
 サトイモ様のイモは、サトイモにあらず。隣の生姜様の物の皮をむくとこの様になる。ひね生姜のような強い繊維があり、これも簡単には噛み切れない。かなりデンプンを含んでいるが、繊維の強さは強烈。ショウガの仲間の様な気がする。以前にタピオカ(デンプンの小さな玉)を作るショウガがあると聞いたことがあるが、それかもしれない。

 なかなか強敵の多い朝食だった。キャッサバは、アフリカで雇っていたアリマシと言う老人が、良くキャンプ地に持ってきてくれ、トマト味で煮てくれたから懐かしい味。サツマイモは、戦後すぐに良く代用食に出た。その頃、胃があまり丈夫では無く、サツマイモは苦手だった。あまり食べないので、母親に悲しい思いをさせた。最近は結構好きでサツマイモを食べると、いつも戦後のことを思い出し、母親に申し訳ないことをしたと反省する。老人になると食べ物にも、いろいろの思い出があって、結構楽しい。
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ジャックフルーツ

ジャックフルーツ              2008.11.7. 金森正臣

 ジャックフルーツは、幹に直接花が咲き、大きな実が稔る典型的な熱帯植物。すばらしく大きくなり、フルーツ全体は20kg程度になるものも有る。普通は、12-3kgで有るが、我が家の大家さんの門の脇のものは、20kgを超え、ついに重さに耐え切れず転がり落ちていた。馬鹿なやつだと思うが、どうしてこんなに大きくなってしまうのだろう。

 ジャックフルーツには、2つのタイプがあり、見た目も写真のように異なる。左側が市場に出る大きなタイプ。右側は、ほとんど市場に出ない小さなタイプ。小さなタイプは、食べるところも少ないので、あまり市場に出ないのだと言う。好みにもよるが、小さい方が臭いも少なく、甘くて美味い。この果物の多い季節は6月ごろで、写真もその頃のもの。ジャックフルーツは樹脂をかなり含んでおり、結構腹が膨れる。食事の代わりになってしまう。

 大きなジャックフルーツは、ややドリアンに近い臭いがある。外側の粒のある厚い皮をむくと、結構樹液が出て手がべとつく。商売の人は手に油を付けたりしている。厚い皮の下からは、やや黄土色の果肉が現れる。ソラマメ大の中央の種を出すと、後はシャリシャリと食感が良い甘い部分が残る。

 ソラマメ大の種は、今まで食べたことはなかったが、最近カンボジア人は食べていることを知った。そのままかなり良く茹でて、薄皮を剥ぐとまるで栗の茹でたのに似ている。写真の中央の篭に入っているのがジャックフルーツの種。やはり集めて食べていた。今まで食べなかったので、なんだか損をしたような気がした。
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焼きバナナ売り

焼きバナナ売り                 2008.6. 11. 金森正臣

 カンボジア人はいつも何かを食べていると書いたが、これもその一つ。バナナを焼いて売っている。カンボジアのバナナはかなり品種が多い。その中で比較的安く、完熟を食べるバナナの一品種を、焼く。南米やアフリカで多用されている大型の調理用バナナではない。焼く場合には、やや若いバナナの皮をむいてから、半日天日干しする。写真の売り手のおばさんの右後ろに見えるのが、干したバナナ。それを焼きながら、数回塩水をかけて焼く。そうすると、やや甘味も出て、美味くなる。食後などにも、デザート代わりに食べている人がいる。串に数本の太短いバナナがさしてあり、一串500リエル(約13円)ほど。これだけで私は、一食になってしまう。

 このバナナはいろいろに使われており、茹でバナナ(消化が良く、朝に食べるものだと言う。二日酔いには良いと朝進められたことがある。デザートの中に煮込む(タピオカが入っていることが多い)、フライ(押しつぶして衣を付けて揚げる、ポテトチップス風に薄くして乾燥するなど。月4回ほどあるお寺に参詣する日には、門前にバナナと花の市が立ち、バナナは、1房1000-2000リエルで参詣者が買って、お寺に寄進する。お寺は一週間にほぼ一度の割合で、多量のバナナが寄進され、食いきれないし、どうするのだろうと余分な心配をしていた。最近になって、この寄進のバナナは、小さなキヨスクが買い取って、町で売っていることが分かった。この流通経路で、お寺も現金化しているのだ。焼きバナナに出来るくらい若い物も寄進されるので、きっと焼きバナナ売りにも流れているのだろう。
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いろいろのものを食べるクメール食文化 2

いろいろのものを食べるクメール食文化 2     2008.06.03. 金森正臣

 地方に出かけた帰りに、道路脇でヤシ酒を売っているのを見かけた。お客さんも居たので珍しいものをと思って車を止めて、試しに一杯飲んでみたが、時間が経ち過ぎていて美味くなかった。脇では、いろいろのお摘みを、別なおばさんが売っていた。

 左手前のお盆は、手前が開いた魚のから揚げ、時計回りにナマズ(カンボジアでは、ナマズの仲間が多く、日本のナマズに近い仲間と別なグループがいる。メコンオオナマズと呼ばれる体調2m、200kgにもなる種類から始まって30種以上いる。)の仲間の丸揚げ、その奥はヘビの丸揚げ。ヘビは皮付きで、そのまま内臓も出さずに揚げられており、沖縄のエラブウミヘビの燻製をお思い起こさせる。どうやって食べるのだろう。噛り付くのだろうか。その奥のお盆は、小さなナマズの丸揚げ。中央の列奥は、ヘビの丸揚げ。先ほどのヘビとは種類が別でやや小さいが、いずれも種名は不明。中央手前は、ナマズの仲間の丸揚げ。右手のお盆には、トリの丸蒸し。ハトよりやや大きくウコッケイぐらいの大きさ。カンボジアでは、ウコッケイがかなり飼育されており、それかもしれない。その右隣は、スネークヘッド(ライギョの仲間)の開きを揚げたもの。鍋の中にも何かあったが、確認しなかった。

 左奥の小さなナマズの丸揚げを少し買って食べてみたが、やや古く危ない感じがしたので、ここで飲むのも買うのもあきらめて、帰途についた。お客さんがそんなに多いはずもないし、こんなに沢山作ったら、いったい幾日かかって売っているのだろう。古いものがあっても、当然かもしれない。

 カンボジア人は、いろいろなものを食べる。ポルポト時代の飢えしのぐために発展したと言う説もあるが、結構調理方法も発達しているので、以前からかなりいろいろ食べていたのであろうと私は思っている。調理方法は、そんなに簡単に発達するものではなく、調理器具や道具と相まって発達する。かなり時間がかかっているように思われる。
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