北海道大学 大学院理学研究院の髙橋 啓介 准教授、藤間 淳 特任准教授、宮里 一旗 特任助教および髙橋 ローレン 学術研究員らの研究グループは、触媒データをオープンに共有でき、プログラミングを必要としない機械学習・データ可視化を可能とした触媒インフォマティクス・プラットフォーム「Catalyst Acquisition by Data Science」(通称:CADS)の開発に成功した。
近年、人工知能(AI)-データ科学-を自然科学に適用し、触媒開発を加速させる動きが活発化している。このような試みを触媒インフォマティクスと呼び、新規の研究分野として学術界・産業界から注目されている。
触媒インフォマティクスは多くの技術の融合分野のため専門性が高い上、高度なプログラミング技術が必要。また、各々の触媒研究者の所有するデータを蓄積・共有するデータセンターが存在しないことも、触媒インフォマティクスを推進する上で大きな障害であった。
同研究グループは、これらの障壁を取り払うため、ウェブブラウザ上での簡単なマウス操作で触媒インフォマティクスを用いて触媒設計できるプラットフォームを開発した。
これにより、ウェブブラウザ上で研究者が持つデータの可視化や機械学習による触媒設計が可能になる上、触媒データの公開により世界の触媒研究者との情報共有も可能とし、触媒データセンターとしての役割も果たす。
実際にOCM(メタン酸化カップリング)触媒データをCADSで分析し、CADSのインタラクティブ可視化などによって、OCMの反応収率に影響する要因の切り口を見いだした。今後、CADSの普及により、データ駆動型の効率的かつ直接的な触媒設計が加速すると期待される。(科学技術振興機構<JST>)