“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「感染症<増補版>」(井上 栄 著/中央公論新社)

2020-05-06 09:30:21 |    生物・医学

 

<新刊情報>

 

書名:感染症<増補版>~広がり方と防ぎ方~

著者:井上 栄 

発行:中央公論新社(中公新書)

 グローバル化による人やモノの大移動によって、病原体が世界的に拡散するリスクは劇的に高まった。同書では、伝染病対策の歴史、病原体の種類や性質、伝播経路と遮断法など、感染症の脅威に正しく対処するための基礎知識を伝える。コレラから新型インフルエンザまで、多様な感染症をわかりやすく解説したロングセラーに、新型コロナウイルスの特徴や予防法を考察した新章「新型ウイルスが広がりにくい社会」を加えた増補版。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術ニュース●国立天文台、世界で初めて重力波望遠鏡の感度を上げる新たな技術を開発しその実証に成功

2020-05-06 09:29:43 |    宇宙・地球

 国立天文台は、重力波望遠鏡の感度を上げる新たな技術が世界で初めて開発され、その実証に成功した。

 この開発と実証には、国立天文台三鷹にある重力波検出器「TAMA300」が用いられた。今後この技術を、大型低温重力波望遠鏡「KAGRA」をはじめ現在運用中の重力波望遠鏡に適用することで、数多くの重力波現象が捉えられると期待できる。

 2015年の史上初の重力波の直接検出という業績に、2017年ノーベル物理学賞が授与されたのは記憶に新しいところ。 

 現在稼働中の干渉計型重力波望遠鏡は、重力波到達時に離れた鏡の間に生じるわずかな距離の変化を精密に測定して、重力波を検出する。鏡の間は数キロメートル離れているものの、その変化は極めて小さく、量子力学的に避けられないゆらぎまでも制御しなければ重力波の検出はできない。

 このゆらぎは、波の位相と振幅との両方に現れ、どちらかを小さく抑えるともう一方が大きくなるという性質がある。位相のゆらぎは高周波数の雑音を、振幅のゆらぎは低周波の雑音を発生させる。周波数に応じて小さくしたいゆらぎを選ぶことができれば、雑音を小さくできる。

 国立天文台重力波プロジェクトの研究者を中心とした研究チームは、三鷹キャンパスにあるTAMA300を改造し、ゆらぎを制御する技術の開発を行った。

 TAMA300は300メートルの基線長を持つプロトタイプのレーザー干渉計型重力波検出器。研究チームは長さ300メートルのフィルター共振器を構築し、この長い基線長と、KAGRAの開発で培われた防振制御などの最新技術を応用して、大型重力波望遠鏡で必要とされる100ヘルツ以下という低周波におけるゆらぎの制御の実現に成功した。このような低い周波数でのゆらぎの制御はたいへん難しく、これまで成功例がなかった。

 この技術は、KAGRAのみならず、米国のLIGO、欧州のVirgoといった世界中の重力波望遠鏡の次期アップグレードで採用される予定で、その実現性を世界に先駆けて実証したことはたいへん大きな意義がある。

 この技術を実装することで、現在よりも感度は約2倍、観測可能な重力波現象の数は8倍となる。より多くの重力波現象を観測することで、ブラックホール連星の形成過程や一般相対性理論の精密検証、中性子星の諸性質の解明や、宇宙における重元素の起源など、我々の宇宙に関するさまざまな新しい知見が得られることが期待される。(国立天文台)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「Pythonデータエンジニアリング入門」(橋本 洋志、牧野 浩二、佐々木 智典、横田 祥著/オーム社)

2020-05-06 09:29:16 |    情報工学

 

<科学技術書>

 

書名:Pythonデータエンジニアリング入門~高速化とデバイスデータアクセスの基本と応用~ 

著者:橋本 洋志、牧野 浩二、佐々木 智典、横田 祥 

発行:オーム社

 データエンジニアリングは、データサイエンスを現実に意味のある形に使えるようにし、実装・運用できるようにすることを指す。データサイエンスを機器や分析に実応用するためには、Pythonスクリプトの高速化の知識や、センサ信号の取得、アクチュエータ制御に必須となる通信、インタフェース駆動といった外部デバイスとのデータアクセスの基本と応用についてのスキルの修得が必要となる。同書は、これらのデータをエンジニアリングするための入門的な知識を解説。 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする