朝刊がコトリと新聞受けに落ちた。家族を起こさないよう忍び足で階段を下りる。45年前。京都大学の県内高校の合格者名を目で追う。合否電報は頼んでこなかった。──雨戸を開け外に出た。春とはいえ、空気は冷たく肌を刺す。
私はどうしてよいか分からず思い切り顔を空に上げた。まだ明け切らない群青色の半球に星が瞬いている。両の目から涙が流れる。止めどなく。
「死んでもいい」と勝手に退院して、その夜から徹夜で勉強に打ちこんだ結果だ。私の横を、爆音を響かせた長距離トラックが通り過ぎて行った。
霧島市 久野茂樹 2013/2/19 毎日新聞鹿児島版掲載
私はどうしてよいか分からず思い切り顔を空に上げた。まだ明け切らない群青色の半球に星が瞬いている。両の目から涙が流れる。止めどなく。
「死んでもいい」と勝手に退院して、その夜から徹夜で勉強に打ちこんだ結果だ。私の横を、爆音を響かせた長距離トラックが通り過ぎて行った。
霧島市 久野茂樹 2013/2/19 毎日新聞鹿児島版掲載
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