「太平洋の白鳥」。新聞にある日本丸寄港の見出し。夜を彩るイルミネーションの写真は、出不精に陥りがちな私にスイッチを入れ、停泊中の波止場へ足を運ばせた。雲が切れ青空が広がるのを見て自宅を飛び出す。
全長110㍍のマスト、青海原の錦江湾、桜島を背にした日本丸は、まさに翼を休める白鳥だ。
夜の海に照らし出された怪しげなさまは、海上を横行する海賊船、剣を手に片目を覆った大将と子分たちが今にも現れそうな錯覚を与える。日本丸は私が見た少年時代の絵本の世界を思い出させてくれた。
鹿児島市 鵜家育男 2013/2/21 毎日新聞鹿児島版掲載
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