柿の木に登り、実を取ろうと枝に手をのばしたとたん、バランスを崩して落ちた。
日吉町の山あいに引っ越して迎えた秋。高さ3㍍くらいからだったが、シラスの庭だったためか、軽い打ち身ですんだ。しかし、当時10歳の私は、初めてのことで死ぬかと思った。
縁側で縫い物をしていた母が、はだしでとんで来た。「母ちゃん、死にたくない」。しがみつくと「おとなしくならんと」ときつく抱きしめてくれた。
男の子とチャンバラごっこをしたり、野山を駆け回っていた私は、静かになった。母も逝って7度目の季節が過ぎていく。
いちき串木野市 奥吉志代子(61) 2009/11/8 毎日新聞鹿児島版掲載
日吉町の山あいに引っ越して迎えた秋。高さ3㍍くらいからだったが、シラスの庭だったためか、軽い打ち身ですんだ。しかし、当時10歳の私は、初めてのことで死ぬかと思った。
縁側で縫い物をしていた母が、はだしでとんで来た。「母ちゃん、死にたくない」。しがみつくと「おとなしくならんと」ときつく抱きしめてくれた。
男の子とチャンバラごっこをしたり、野山を駆け回っていた私は、静かになった。母も逝って7度目の季節が過ぎていく。
いちき串木野市 奥吉志代子(61) 2009/11/8 毎日新聞鹿児島版掲載
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます