「先生、80歳になりました」。病院通いも長くなって、先生にもなれなれしく世間話を切り出したりしている。
80歳。私はこの時を待ちわびていた。「気持ちが急に軽くなりました」。高鳴る気持ちを明かす。と、先生の冷めたひと言が返ってきた。「104歳が1人で診察に来るんですよ、上を向かなくちゃー」。話題はそこで途切れた。
子どもの頃の私はお年寄りのおっとりした雰囲気に憧れていた。その思いは今も強く、せめて82歳の頃までには、あのおっとり構えた隠居暮らしをまねしてみたい。
宮崎市 日高達男(80) 2022.3.30 毎日新聞鹿児島版掲載
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます