はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

日だまりの猫

2008-05-30 20:16:58 | はがき随筆
 おん年19歳、人間で言ったら88歳の雌猫は、横浜の1DKの部屋に住んでいる。
 飼い主は私の幼なじみ。先日のファクスでただ今ぼうこう炎の治療中とあった。問診票には患者名「うらら」、種類「老猫」と記載し超音波、レントゲン、血液の検査を受けた由。高額の診療費を支払った友はしばらくは粗食が続くと笑っていた。
 一人息子が結婚し家を離れた後、友は我が孫のようにうららの世話を焼いている。3年前、91歳の母を見取った彼女は、今度は見届けることになる。そのうららは終の棲で日長一日、眠りこけている。
   大口市 山室浩子(61) 2008/5/29 毎日新聞鹿児島版掲載

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