はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

縁側の祖母

2016-11-18 23:48:54 | はがき随筆
 幼い頃、ひなびた縁側で祖母が背をかがめて日なたぼっこをしていた。こぢんまりとした顔や体つきは父の母親に、しかと映った。針仕事に精を込めている。のどかな時を経る日もあった。祖母の傍らに寄るとうれしかった。老婆のしわくちゃの顔、手足は不思議にも大黒さまのごとく神々しく映った。白髪を解き竹ぐしで梳いてあげた。肩をもむと肉の薄い骨がごつごつと手触りが悪かった。こっくりと船をこぎだした。1世紀も世の橋を渡り、歴史を刻んだ。祖母に感謝の念でいっぱい。祖母の細長い目はうるんでいた。私の目にも涙が光った。
  姶良市 堀美代子 2016/11/18 毎日新聞鹿児島版掲載

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