隣の叔父の家が空き家になって、庭も畑も荒れ放題。見るに見かねて手入れをしてきた。
桜が咲く頃、その畑のリンゴの木につぼみを見つけた。可憐な白い花を初めて見た。
独身の頃、北海道に行く途中、太宰治の生家を訪ねた。汽車はリンゴ畑の中を走り、窓から手を伸ばせばリンゴに届きそうだった。リンゴ畑を抱くように鎮座する岩木山。花の光景を見たいと思った。心の絵となった。
リンゴが気になり、何度も足を運ぶ。ある日、数個の小さな青い実を見つけた。梅雨や台風に耐えられるかな。果たして赤いリンゴを見られるだろうか。
宮崎県串間市 武田ゆきえ(66) 2020/8/24 毎日新聞鹿児島版掲載
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