はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

白川の里

2015-11-01 21:37:26 | はがき随筆
 今も鉄路の駅名が、バス停に残っている。先日アーカイブス「昭和のふるさと」というテレビ番組の中に、涙と共に記憶が残るオレンジ色の丸い顔した車体のディーゼルカーが出現した。当時西鹿児島駅発登りの列車で何本かは伊集院駅で切り離されることを知らずに泣きくずれてしまった、南薩線の最後の映像であった。亡き母と何回となく帰った母の里の思い出が淡く浮かび上がった。
 半世紀以上の時をへても昨日のことのように色がよみがえる。人けの少ない中に「白川駅」という名のバス停だけが今でもぽつねんとたたずんでいる。
  いちき串木野市 新川宜史 2015/10/31 毎日新聞鹿児島版掲載

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