空を見上げた。天高く、遠く一面に澄んだ青色が広がっている。ミツバチの羽音をくぐって、畑の隣からおばあちゃんたちの会話が聞こえてきた。
この間、米寿を過ぎたと言っていた。しばらくすると、野菜のお裾分けが話題になった。
ふと「歯がいてえ」「病院行かにゃ」「行ったらよ、休みじゃった」「なっさけねえなあ」。
深くため込んだ「情けない」の一言が、つんと心に染みた。「悔しかったね」と寄り添う一言に「ありがとう」と続いた。
視線を落とすと、目の前の青ジソの下にこぼれた小さな花弁がライスシャワーに見えた。
宮崎県都城市 平田智希(44) 2020/11/7 毎日新聞鹿児島版掲載
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