「ドサッ」という衝撃音が屋内まで聞こえました。玄関を開けると、小鳥が1羽身じろぎもせずにうずくまっています。どうやらガラス窓の存在に気づかなかったようです。頭部の毛はごっそりと抜け、ガラス窓に付着するほど。一瞬、手を伸べようと思いましたが……。やめました。
「構わずにそっと見守りなさい」そんな声がしたからです。偉大なる自然に人間ごときが余計な手を出してはいけないと、少年の頃に教わったのです。小一時間してのぞいてみました。小鳥は自力で青空へと飛び立った後でした。
鹿児島県霧島市 久野茂樹(72) 2021.9.29 毎日新聞鹿児島版掲載
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