「ヒロシマナガサキ」というドキュメンタリー映画がある。メガホンを取ったのは日系米国人スティーヴン・オカザキ監督。広島と長崎の被爆者及び原爆投下にかかわった米国人へのインタビューを柱に、当時のニュース映像や資料写真などを交えた構成だ。昨夏から全国で順次公開され、昨年8月6日にはケーブルテレビで米国でも放映されたという。
冒頭、東京・原宿で道行く若者たちに「1945年8月6日に何が起きたか」と尋ねるシーンがある。登場する8人の男女は誰一人、それが広島原爆の日だと知らない。ドキュメンタリー作品とはいえ意図的にそうした反応を集めた可能性はあるが、世界唯一の被爆国にしてこのありさまはやはりショックだ。
「ヒロシマナガサキ」の話題は先日、鹿児島市で開かれた県被爆二世の会(大山正一会長)の総会で講演した被爆2世の写真家、吉田敬三さん(47)から聞かされた。同じく2世の私は作品を見ていなかった不明を恥じ早速、DVDを買いに走った(公式ホームページによると、県内での上映は今のところ未定)。
厚生労働省によると06年度末の被爆者健康手帳交付者は全国約25万人。当然、2世も相当数に上るはずだ。ちなに県内の手帳交付者は1300人弱だが「二世の会」に参加しているのは目下、100人と少しである。
現代社会は核戦争の恐怖と隣り合わせと言っても過言ではない。1世の多くが鬼籍に入り、存命者も大半が後期高齢者の仲間入りをした今、核の悲惨さは2世が語り継いでいかねばならない。昨秋発足した「二世の会」の意義と責務は、大きいと思う。
ちなみに吉田さんは現在、100人を目標に全国の被爆2世のポートレートを撮影中。達成後は2世・3世を含む被爆者への誤解と偏見を解き、平和への願いを発信する写真展を開くという。
鹿児島支局長 平山千里 2008/5/26 毎日新聞掲載
冒頭、東京・原宿で道行く若者たちに「1945年8月6日に何が起きたか」と尋ねるシーンがある。登場する8人の男女は誰一人、それが広島原爆の日だと知らない。ドキュメンタリー作品とはいえ意図的にそうした反応を集めた可能性はあるが、世界唯一の被爆国にしてこのありさまはやはりショックだ。
「ヒロシマナガサキ」の話題は先日、鹿児島市で開かれた県被爆二世の会(大山正一会長)の総会で講演した被爆2世の写真家、吉田敬三さん(47)から聞かされた。同じく2世の私は作品を見ていなかった不明を恥じ早速、DVDを買いに走った(公式ホームページによると、県内での上映は今のところ未定)。
厚生労働省によると06年度末の被爆者健康手帳交付者は全国約25万人。当然、2世も相当数に上るはずだ。ちなに県内の手帳交付者は1300人弱だが「二世の会」に参加しているのは目下、100人と少しである。
現代社会は核戦争の恐怖と隣り合わせと言っても過言ではない。1世の多くが鬼籍に入り、存命者も大半が後期高齢者の仲間入りをした今、核の悲惨さは2世が語り継いでいかねばならない。昨秋発足した「二世の会」の意義と責務は、大きいと思う。
ちなみに吉田さんは現在、100人を目標に全国の被爆2世のポートレートを撮影中。達成後は2世・3世を含む被爆者への誤解と偏見を解き、平和への願いを発信する写真展を開くという。
鹿児島支局長 平山千里 2008/5/26 毎日新聞掲載
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます