はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

2021-11-12 17:50:02 | はがき随筆
 4時前に起きて空模様を確認する。地面はぬれているが、降ってはいない。雲の向こうにぼんやり明るいモヤモヤは月だろう。トーストを食べ散歩に出る。一日の始まりに勇んで家を出た。闇の世界だからか海中電灯の光が頼り。だが、その光の中に糸が流れる。不安が現実になった。雨である。まれにあることで、自室に戻って夜明けを待つしかない。ぼんやり物思いにふけるのもいいもので、楽しかった思い出が浮かんでは消えていく。年老いて見る頭の中の映画館である。ふと現実に戻る。毎朝一緒に歩く友人は稲刈りを予定していたが大丈夫だろうか。
 鹿児島県志布志市 若宮庸成(82) 2021.11.2 毎日新聞鹿児島版掲載

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