両親は家業で忙しく、子供時代は同居の祖父母と過ごすことが多かった。関東大震災や戦争を生き抜いた「もったいない精神」は確実に私に引き継がれた。
40年前、長男を妊娠中にブラウスをほどいてベビー服を作る私に母は「初孫にそんなつましいことはしないで」と言った。
時代はバブル期。母だけでなく、周囲の消費ぶりにひとり違和感を覚えていた。
それでもやっぱり譲れない。靴下の破れは繕い、すり切れたシーツの端は枕カバーにした。
私も祖父母の年齢になった。幾多の災害やコロナ禍を経て時代が私に追いついてきた。
宮崎県日南市 小野小百合(63) 2021.11.1 毎日新聞鹿児島版掲載
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます