園児たちがすっかり帰った教室に彼女を訪ねる。まあるい顔いっぱいに彼女の笑顔がはじけた。ままごとみたいに小さな机に向い合って座る。一本の鉛筆を使って、僕たちの音声のない会話が始まった。「のど大丈夫?」と僕。「ううん、まだ声でなくて……」
途中、ポケットから取り出したアメ玉の一つを僕の口へ、一つを自分の口へ入れて彼女はにっこり笑った。後日、この話を聞いた友が言った。「まるで青春映画そのものだな」。19歳と22歳。まだ疑うということなど知らなかった2人の、ちっちゃくてかわいい恋の話である。
霧島市 久野茂樹 2016/3/20 毎日新聞鹿児島版掲載
途中、ポケットから取り出したアメ玉の一つを僕の口へ、一つを自分の口へ入れて彼女はにっこり笑った。後日、この話を聞いた友が言った。「まるで青春映画そのものだな」。19歳と22歳。まだ疑うということなど知らなかった2人の、ちっちゃくてかわいい恋の話である。
霧島市 久野茂樹 2016/3/20 毎日新聞鹿児島版掲載
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