はがき随筆・鹿児島

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心に残る植物観察会

2018-04-24 17:07:44 | 岩国エッセイサロンより
2018年4月24日 (火)
   岩国市   会 員   角 智之

 1979(昭和54)年、山口県周防大島町久賀(当時久賀町)の事務所へ転勤した。
 赴任先の先輩係長は山野草に詳しく、現在中国新聞 「防長路」面に「四季折々 やまぐちの花」を連載している山口植物学会会長の南敦先生と親交があった。その年のゴールデンウイークに先輩は先生を伴っての植物観察会を町内の源明山で計画し、私も参加した。
 先生から、瀬戸内海では島により自生している植物が少しずつ異なり、町内にも珍しい植物がたくさんあると聞いて驚いた。
 その中の数種は自生地が限られた大変希少なものだという。ある先輩から町内の沢でワサビの自生を見たという話を聞いたことがある。温暖で夜間は冷涼な気候が多様な植物を育んだのであろう。
 林道工事で盛り土の中にアケビらしいものが見つかった。根が残っていたため持ち帰って植えると93年ごろ、一度だけ茶褐色で丸い実を付けた。アケビとは異なるようだった。
 この時季になるといつも観察会を思い出している。

     (2018.04.24 中国新聞「広場」掲載)

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