はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

はがき随筆12月度

2019-01-11 19:42:56 | 受賞作品
 月間賞に今福さん(熊本)
佳作は貞原さん(宮崎)、田尻さん(熊本)、秋峯さん(鹿児島)

はがき随筆の12月度受賞者は次の皆さんでした。


 【月間賞】6日「安田さんと情報」今福和歌子=熊本県八代市
 【佳作】5日「ポチからタマに」貞原信義=宮崎市
 ▽11日「今年の漢字」田尻五助=熊本市中央区
 ▽13日「ツワブキの花」=鹿児島県霧島市


 あけましておめでとうございます。亥年にちなんでこんな言葉を見つけました。「亥(猪)を抱いてその臭気を忘る」。自分の欠点や醜さは自分ではなかなか気付かない。という意味。気をつけねば。皆さんの新年のモットーにはいかがですか?
 今福和歌子さんはシリアで捕えられたジャーナリストの安田純平さんを取り上げ「自己責任」について考えています。保身のため他人をおとしめるという情けない風潮が蔓延する今の日本。これでいいのだろうか、と疑問を投げかけます。偽情報を与えられていた大戦中を思います。正しい判断は真の情報から。安田さんの行動、そして無事に帰国は本当に良かったですね。
 貞原信義さんのユーモアあふれるお話。ご主人の健康を案じて歩け歩けと急き立てる奥様。これから歩きますよ。ポチも一緒よ、と言われつい「ワン」と返事。ホントに? でもそこが貞原さんの真骨頂。2㌔を歩き切ると、知らぬ間に猫背になってしまって「ニャーン」なんて。思いつきませんね。ご夫婦の日ごろの愉快で明るい会話や駆け引きがほうふつとしてきます。
 田尻五助さんは恒例の今年(平成30年)の漢字に興味津々。自分では改竄の「竄」が一番ふさわしい、いかに今の政治が国民を欺いているか、と。実際は「災」でした。しかし「災」も味方によっては国民に災いが降りかかったと考えれば納得できなくもないですよね。
 秋峯いくよさん。庭いっぱいに咲き乱れるツワブキの花から母に思いを馳せるという内容です。この花が好きだった母は戦争未亡人になっても強く働き抜いた。いつも他人を立てて控えめだった。実はこの花の花言葉は「謙譲」「困難に負けない」だとか。まさに母親そのものであると心を振るわせます。温かい随筆です。
 ほかに宮崎の品矢洋子さん、金丸洋子さんが印象的でした。
 熊本文化協会理事 和田正隆

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