明治4年、大蔵省の官僚だった渋沢栄一の家に突然、西郷参議が訪ねてきた。相馬藩は政府の財政改革により藩の財政法が廃止になるのを恐れて、その阻止を西郷さんに依頼したのだ。
相談を受けた渋沢が「先生は相馬藩の法をご存じですか」と尋ねると「全く知らない」と西郷さんは答えたので、渋沢は「今は相馬藩より国家の事を考えるのが先決です」と断った。
西郷さんは飾り気のない、率直な方だったと、「論語と算盤」でこのエピソードを紹介している。参議の相談をそんたくしなかった渋沢、静かに辞去された西郷さんは立派である。
鹿児島市 田中健一郎(81) 2019/11/19 毎日新聞鹿児島版掲載
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