はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

スイカ

2014-08-16 16:35:57 | はがき随筆
 春にまいた2本の中玉のスイカが運よく育ち、菜園の一角を所狭しとツルを伸ばした。実が野球ボールくらいになった頃、夜な夜な現れるムジナに鋭い爪痕を残された。また来るだろう。さてその対策。苦慮の末、棒を立て60㌢程の高さに編み布でハンモックを作った。ツルが折れないように小さなスイカを入れた。幸い11個の可愛いハンモックのスイカは日ごとに大きくなり、ずっしりと重たくなった。昨日1個収穫、包丁をあてるとスパッと割れ、真っ赤に熟れた見事なスイカに感動。早速夫と頂いた。うーん、うまい。家庭菜園の醍醐味を知る。
  出水市 年神貞子 2014/8/16 毎日新聞鹿児島版掲載

便秘と国家

2014-08-16 16:28:25 | はがき随筆
 「便秘にならんかった」
 そう考え出したのはスイス旅行帰りの機内だった。「6泊した各ホテルには全て日本食があり、豊富な水も無料、公衆トイレも無料だった。世界一人種の多い国と聞くスイスは私を大切にしてくれたなあ」と思える。
 これまで旅したEUの国々での食事は少量野菜にハム類、パン類、パスタ類で、消化すると腸内無風の小麦粉単一密集地帯で隙間皆無の状態になったと考える。結果的に私は便秘に苦しんだ日々を過ごしたのだ。
 「小麦粉単一がよくないな。そう、単一を志向すると国家も便秘になるかもよ」  
  出水市 中島征士 2014/8/15 毎日新聞鹿児島版掲載

畑のスイカ 薫る郷愁

2014-08-16 16:14:14 | 岩国エッセイサロンより
2014年8月16日 (土)


岩国市   会 員   横山 恵子

 妹夫婦たち10人余りが集まった時、作り始めて2年目のスイカを味わった。 
 これまで、せっかく食べ頃になってもカラスにつつかれるなど、いろいろあった。
 妹が買ってくれた菜園作りの本を読むと、スイカは植え付け時に水やりをしたら、その後は基本的に必要ないそうだ。やはり知識を得て栽培することは、大切だと思う。
 めいたちが「おいしいよ。買ったのより甘い」と言ってくれ、孫たちも喜んで食べていた。
 スイカといえば、亡き祖父を思い出す。夏休みに入ると、田舎の祖父から「スイカやトマトができたので、泊まりに来るように」という手紙をもらっていた。
 孫たちに食べさせようと一生懸命作ってくれていたのだと、あらためて感謝の思いを抱く。熟れたトマトの匂いは、私にとって故郷そのものだ。 
 スイカは雨が続くと実が割れる。作ってみると、農家の苦労がよく分かる。亡き父が土づくりから始めた畑だ。守っていきたい。
    (2014.08.16 中国新聞「広場」掲載)岩国エッセイサロンより転載