はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

秋の味

2013-09-21 22:34:52 | アカショウビンのつぶやき


友人から一足早い「秋の味」が届きました。
熟し柿が大好きなアカショウビンにと、トロットロの甘ガキです。

「名前は知らんけど、柔らかくておいしいんだよー」と
庭からもいで届けてくださったのです。

早生柿なんでしょうが、特別早い品種なんでしょうね。
おいしく、おいしく頂きました。

「笑顔の閻魔大王」

2013-09-21 22:09:54 | 岩国エッセイサロンより
2013年9月21日 (土)

 岩国市  会 員   吉岡 賢一

 笑顔のすてきな看護師さんに言われるまま舌を出した。途端にガーゼでつかまれ力任せに引っ張られる。その痛いこと痛いこと。涙と脂汗が顔をぬらす。地団太踏んでも離してはくれない。子どもの頃に聞かされた閻魔大王と看護師さんの顔が重なる。喉に刺さった異物。「これが犯人です」。医師の持つピンセットの先に5㍉に満たない魚の小骨。舌を抜かれるまでには至らなかったが、その苦痛の大きさは容易に想像できた。
 そのはずみで「今後はうそをつきません」と誓った。数十年を経た今、その時の痛みを忘れ、方便を使いこなす自分がいる。

 (2013.09.21 毎日新聞「はがき随筆 文学賞特集『うそ』」掲載)岩国エッセイサロンより転載