長崎に住む94歳の義母は介護型老人ホームヘ入所している。
半年ぶりに会いに行った。
「退職してひまができたし、串木野に帰らないか」と夫が誘うと「もう死ぬ前になって言われても疲れる」。「次は夏におじゃましますね」と話す私に「今度来る時は、葬式の時でいい」と。可愛くない返事に戸惑った。が、高齢ゆえの義母の、ひそかな覚悟がそう言わせたのだと思う。
気楽にこちらの都合で振り回したりして悪かった。
ホームの玄関先まで車椅子を操り、見送る義母に手を振ると、ゆっくりうなずいていた。
いちき串木野市 奥吉志代子(60) 2009/3/23 毎日新聞鹿児島版掲載
半年ぶりに会いに行った。
「退職してひまができたし、串木野に帰らないか」と夫が誘うと「もう死ぬ前になって言われても疲れる」。「次は夏におじゃましますね」と話す私に「今度来る時は、葬式の時でいい」と。可愛くない返事に戸惑った。が、高齢ゆえの義母の、ひそかな覚悟がそう言わせたのだと思う。
気楽にこちらの都合で振り回したりして悪かった。
ホームの玄関先まで車椅子を操り、見送る義母に手を振ると、ゆっくりうなずいていた。
いちき串木野市 奥吉志代子(60) 2009/3/23 毎日新聞鹿児島版掲載