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はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

お腹召しませ

2006-03-27 18:52:23 | はがき随筆
 古今東西責任次第では、お腹召しませと、かまびすしいが、私などでは健康増進のため、大腸ポリープの切除である。次兄は30年程前、手術で大腸ポリープを切除した事を覚えているが、現在では細い内視鏡で切除できる。私もこのほど切除したのだった。今日このごろの食生活のなせる業か、大腸ポリープ温存の人が多いらしい。どこの病院でも行列である。
 私もこれで一安心。元気を取り戻し、多くの方々に受けたご恩を少しでもお返ししよう。私も現役を続けているので、いつまでやれるか分からないが頑張ろう。
   大口市小木原 宮園 続(75) はがき随筆特集版-6 (2006.3.27掲載)

妹よ

2006-03-27 18:39:32 | はがき随筆
 久しぶりに妹に電話をした。「しっとりとして奥ゆかしい。姉御とは大違い」と、賞賛されてきた。たつきの業にも優れている。新聞は隅から隅まで読んで、社会情勢に精通し、政治意識も強い。
 憲法9条関連、皇室関連、国保税、消費税問題などについて、政府をこっぴどく批判し、結びがふるっている。
 「わたし、いま、独りで不買運動をしているの。草ばっかり食べてるもんね」
あっぱれ、愛する妹よ。土手の野びるが、おいしそうに手招きしている。さあ、摘みに行こう。
   鹿屋市打馬 伊地知咲子(69) はがき随筆特集版-5 (2006.3.27掲載)

お手玉の会

2006-03-27 18:33:44 | はがき随筆
 生涯学習課でお手玉の会を催すという。初めてのことである。さて今時、どんな人が集まるのか郷愁も手伝って取りあえず参加を申し込む。リードをしてくださる人が男性なのに先ず驚いたが、小学生の女の子が3人加わっていたのにうれしい驚き、おばあちゃんに連れられてとか。熟女らしい女性群もいて何とも楽しい雰囲気に包まれた集まりであった。こんな遊びもあったのかと目に鱗であったが、何より認知症の予防や治療に役立つとの事。明るい先が見える心地がして次の会を楽しみにしている。
   南さつま市加世田村原 寺園マツエ(84) はがき随筆特集版-4(2006.3.27掲載)

思い出交差点

2006-03-27 18:26:43 | はがき随筆
 かつて大型トレーラーバスが走っていたこの街は、私にとってあこがれのスタート地点だった。初めてサーカスのゾウを見て、初めてミルクセーキを食べ、大志を抱き勉学にもまれる高校時代を過ごした。そして、病気休学。大阪の高校へ転校と夢と挫折の交差点でもあった。
 20年後の街は歩行者天国でにぎわい、映画館が四つもあり、子どもたちの歓声があふれていた。今、この町は市街地の再開発や空中給油機問題で大きく揺れている。この街が終のすみかとなろう私は、人生の素晴らしいゴール地点にしたい。
   鹿屋市札元 上村 泉 はがき随筆特集版-3 (2006.3.27掲載)

一期一会

2006-03-27 18:19:35 | はがき随筆
 私の前を歩いていたお年寄りがしゃがみ込んだ。気分でも悪くなったのではと思い歩み寄った。すると、指でつまんだ吸い殻を見せながら「若者(わけもん)の世話になっちょっで、ちったあ世間の役にならんとなあ」と笑った。よく見ると、お年寄りの左手には吸い殻の入ったレジ袋が握られていた。その小柄な後ろ姿からは精いっぱい生きて、自分以外の人たちに出来るだけの事をしたいという気持ちが伝わってきた。「今日は幸福な1日になりそうだ」と私はつぶやいた。二度と巡り会う事が無いかもしれない素晴らしい人に出会えたのだから。
   鹿児島市山田町 吉松幸夫(47) はがき随筆特集版-2 (2006.3.27掲載)

にわか農作業

2006-03-27 18:12:36 | はがき随筆
 大阪から移り住んで、はや1年5カ月になる。夫婦で毎日散歩するようになり、見知らぬ人たちとも顔なじみとなり、あいさつを交わし立ち話をするのが楽しくなってきた。「近くに畑があるから一緒に野菜を作らない?」と思わぬ声を掛けていただいた。早速、耕し石灰をまき、腐葉土を入れてサンド豆、スイカ、トウモロコシなどの種をまき収穫を夢に見る。しかし、いずれも実は付かなかった。いい経験をさせていただいた。今年は同じ失敗を繰り返さないためにも、地元の農家の人に良きアドバイスをしてもらい、今度こそと夢みている。
   蒲生町久末 三宅英代(54) はがき随筆特集版-1(2006.3.27掲載) (写真提供おたくさ日記より)