kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

東芝の迷走

2022-02-09 05:59:49 | 日記
東芝が会社分割を三分割から二分割に変更しました。変更の理由が分割コス
トの削減です。3分割だと700億円ですが、二分割だと200億円で済むという
ことが判明したとの説明です。そもそも会社分割はコングロマリットディス
カウントの解消だった筈です。

二分割でもコングロマリットディスカウントは解消するのでしょうか。そも
そも分割を止めれば費用の200億円はいらなくなります。分割コストの費用の
問題で分割案を変更するという話は海の向こうの米国でも余り聞いたことが
ありません。

総合化学とか総合商社とか総合電機とか総合重機とか何かと日本には多くの
事業を抱えた企業は数多く存在します。日本の経営者には多くの事業を抱え
ることである部門が不振に陥っても他の部門でカバーでき業績の安定が期待
できるという考え方があるようです。

一方米国では株主の力が強く複数の事業を抱えると経営資源が分散して投資
効率が悪くなるという考えが主流です。数年前も化学大手のデュポンとダウ
ケミカルは統合し、さらに事業別に3社に分割されました。

大企業の単なる統合で売り上げが膨らむだけで投資効率の悪化を防ぐために
事業別分割で成長分野に重点的に経営資源をつぎ込むことが可能になりまた
事業内容が分かりやすくなり投資家からの評価も高まるという事が目的のよ
うです。

会社を単に分割するだけでなく投資判断を機動的にするなどで成長を促進す
ることとセットでなければ会社規模が小さくなるだけです。昨年3分割案が
出た時に物言う株主から小さい東芝を3社作るだけという強烈な拒否反応が
ありました。

2013年にはソニーに映画などエンターテインメント事業を分離するように物
言う株主から要求がありました。東芝のケースでは真逆の展開です。東芝に
必要なのは会社分割よりも競争力のある主力事業と非主力事業を明確にする
こと。

そして主力事業にはヒト、モノ、カネを集め非主力事業は売却することです。
財務余力の少ない東芝が成長するためには投資効率を高めることです。その
ための資金捻出が非主力事業の売却です。東芝に必要なのは投資と分配のバ
ランスです。物言う株主対策で巨額な自社株買いへの要求されているようで
すが本当に必要なのは次の主力事業の育成です。そのためには投資不足は命
取りです。

非注力事業として空調や照明それにエレベータ事業の売却も取りざたされて
います。しかし、どんな事業で企業価値を向上させるのか答えは出ていませ
ん。綱川体制が本当に会社の再建が果たせるのか、分割案が3ヶ月で修正され
たことを考えると不安しかありません。

そもそも物言う株主からの巨額な投資を受け入れのスキームを作ったのは綱
川氏です。上場廃止と引き換えに東芝の迷走の原因を作りました。医療事業
やメモリー事業を売却して損失を埋めてきた東芝の再建は本当に分割なので
しょうか。
コメント
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