kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

ようやく決断

2022-02-02 05:30:54 | 日記
セブン&アイ・ホールディングスが、傘下の百貨店事業会社、そごう・西武を
売却する方向で最終調整に入ったという報道で1日の同社株は10年来高値を更
新しました。もっともこの発表はそれ程意外なニュースではありません。

コンビニ事業のセブンイレブンは元々イトーヨーカ堂が親会社でその子会社の
親子上場でした。しかし当時、収益力も成長期待も強いセブン株はヨーカ堂の
時価総額を超える水準でした。巨額な資金を動かせる投資家がヨーカ堂株の半
分を取得出来ればセブンを支配できる構図でした。

そこでヨーカ堂は持ち株会社の下にコンビニ事業とスーパー事業それに外食事
業をぶら下げる形での経営統合に踏み切りました。一方成長期待の強いコンビ
ニ事業と低迷していたスーパー事業が一緒になったことで市場の評価は低下し
ました。企業価値を上げるには複数の外資系ファンドがコンビニ事業以外を売
却するなり分社化するという要求を会社側に求めたのは自然な形です。

4.4%出資する米バリューアクト・キャピタルはオリンパスに赤字続きのカメラ
事業を売却して主力の医療事業に経営資源を集中させ企業価値を大きく向上さ
せました。またJSRには低採算のエストマー事業を売却して競争力のある半導
体材料事業にシフトさせ企業価値を上げました。

バリューアクトが標的にする企業は競争力のある事業があること。しかし同時
に低収益事業を抱えて市場の評価が低い企業であること。低収益事業を整理し
て経営資源を主力事業に注げば市場の評価が高まること。上記の3社はこの要件
を満たしていました。

もっとも今回明らかになった傘下の百貨店事業会社は2006年に2000億円を投じ
て買収した外様企業です。元々百貨店業界の中では低収益でした。そこにコロ
ナ禍も加わり一層苦境が加わりました。売却対象の一番手として当然の存在で
した。

同じく赤字続きの通販大手のニッセンも買収した企業です。次の売却候補かも
しれません。もっとも外食大手のデニースや祖業のスーパー事業の売却は想定
ハードルが高そうです。コンビニ事業と相乗効果の薄い低収益な事業はすべて
売却するくらい踏み込めるのかが今後の焦点です。

百貨店事業だけの売却に限定されれば市場からの評価は劇的には高まりません。
その他の事業のどのくらいメスを入れられるかが次の焦点です。おそらく海外
ファンドもこの程度では納得しないでしょう。百貨店事業売却は初めの一歩に
なるのかどうか今後も注視していきたいところです。
コメント
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