「やさしい虐待」

2011-12-16 11:03:59 | 塾あれこれ
NHKで「やさしい虐待」という言葉が紹介されました。

改めて言われるまでもなく、現場ではその危険は
うすうすでも認識されていたことです。

肉体的な乱暴、言葉による虐待、などは明確に
否定すべきこととしてすぐに捉えられますが
それら以外に、子供に良かれと思ってするシツケが
過剰になり過ぎたり、教育で強いストレスを与えていたり
こういう「親ごころ」が過度になりすぎると、結果として
子供を傷つけてしまうことがあるのではないか。

子供も親の期待を正面から受け止めようと努力をしますが
ぎゃくにそれが一定域を超えると期待に応えられなくなり
無気力になったり、自己否定を強くしたりして
例えば、不登校や引きこもりになってしまい
また親も精神的に参ってしまうのです。

(もちろん、不登校が悪いことか、は別問題です。

 多くの人がそれを良くないと思い、悩む
 そういう面では少なくとも避けておきたいことです。

 本当は、不登校を悪いと思うことから解き放たれる
 のが良いのですが)


塾も上記の親に似た状況を作る恐れが常にあります。

子供に良かれと行う指導が行き過ぎていたりして
彼らの足を引っ張っていることはないか?

甘やかしはいけないと逆に厳しすぎることをしていたり、
はないか?

「やさしい虐待」は自分たちのリスクでもあるのです。
特に、甘やかしはいけないという立場の塾ならばそうです。

(友達感覚が営業的にはよろしいので、こういう厳しい塾は
 現在すでに少ないかもしれません)

私も毎日毎日悩むことで、シンドイ。
個別であれば、もっとも神経をつかうところでしょう。 


「やさしい虐待」という状況は無くさなくてはなりません。
当然すぎる話です。

それには、悩んでいる人をケアすることがまず一番です。

それを絶対の前提として、以下の話になるのですが
TVの番組内で言われたことはすべて認められることか?

「良い親」が「良い子」を追い詰める時
その親たちは、彼らの親から育てられたのと同じことを
子供たちに繰り返していると言われました。
(良くも悪しくもそういうことは昔から多かったハズです)

親たちが祖父母からしつけられていたときに
嫌なことを強制させられていた筈なのに、いつかそれを忘れ
自分の子供たちに、また同じ嫌なことを押し付けるのです。

その親の気持ちを解放することが問題解決の第一歩だとして
臨床されるわけですね。

子供への過度な期待は嫌なことだった、と確認し
親が精神を解放されると子供に良い影響が出るのです。

状況が良くなればよいのですから、理屈は二の次でしょう
けれど・・ちょっと待った!

で、クダンの親たちはその親から過剰なことを押付けられて
不登校になってたのでしょうか?
普通に立派な大人になられたのではありませんか。

では、同じように育てて、なぜ今の子供だけが不登校に?
他の要因もあるのではないかと私は思うのです。

自分の子供が思うようにいかないからといって、自分を育てた
親の責任にしてラクになろうってのは如何なものでしょう。
(言い過ぎてスミマセン)

子供が不登校になっている親が悪いというのではありません。
(神様じゃないんだから無謬ではないかもしれませんが)

加減を間違えていたかもしれません。

しかしその塩梅を誰が分かると言うのでしょう。
きっとみんな間違えたことがあるはずです。
神様じゃないんだから。

それを子供が許してくれていたのです。
かれらはごく繊細であると同時にしなやかでタフです。


昔から間違いは数多くあったし、決定的に傷ついた
子供も多数いたはずです。
外国だって同じでしょう。

ではなぜ今子供が不登校に?

そう、
当時は不登校ってほとんどありえなかったから。

社会の状況、環境を忘れるわけにはいかないのです。
すべてを子供たちの環境のセイにするのも良くない
ですが、親が全てを背負込む必要もありません。

特に、昔の社会では環境の部分で子育てに応援が
多くありました。
多世代家族、多くの兄弟、親戚、ご近所・・

今はそれが少なくなり本人にじかに響いてきます。

一番大きな要因は文化の変質だと思いますが
それはまた別の日に書きます。


社会=環境、や情報により子育てが影響を受けると
いうことはご家庭と周囲との違いが大きすぎると
ストレスがおきやすいということにもなります。

残念ながら今日ではあまり「きちんと、甘やかさず」
ということを強く出しすぎるのも難しいでしょう。

そのうえで親の思いは十分に伝えねばなりません。
NHKの番組が何を言おうが、子供に責任をもつのは
一人一人の親だから、ビビらされてばかりでは駄目。

行きすぎには十分注意しながら
社会にも目を配りながら
きちんとした日本人に育てましょう。
甘やかしはダメです。

周りが駄目ばかりならば、立派さが際立つはずですし
国際人としても通用する人間ができるのです。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
残念ながら (まう)
2012-07-02 21:04:08
>肉体的な乱暴、言葉による虐待、などは明確に
否定すべきこととしてすぐに捉えられますが

残念ながら肯定されます。
自分が気に入らないだけなのにやった事も「躾の一環」。

精神科医でさえ「執拗に何回も殴られてるならともかく…」と、数回の暴力、ましてや暴言虚言は「否定すべきこと」にカウントされません。
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総論は難しいですね (inoue)
2012-07-02 21:41:25
おしなべて総論めいたもの言いは「Aとも言えるし、Aでないとも言えるし」となり易いですね。
仰る通り「やさしい虐待」は大変に大きな問題です。私も過去にいくつもの失敗をしています。今、はっきりと認識され始めていることは大きな進歩ですね。
と同時に(権利の乱用)めいた流れができることもやはり不幸です。大切なことは子供の健やかな成長ですから。
NHKの単純すぎるククリには、ちょっとだけ待った!という話でした。短く纏めようとすると、ああなりやすいのでしょうが
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