人生って

2015-12-12 16:42:59 | 塾あれこれ
知り合いの方の話です。

先頃、お亡くなりになりました。

女性の方で、私よりかなり年上です。
生涯、独身を貫かれました。
そのあたりの事情は存じません。
・・当たり前だよね。

定年退職をし、自分の住む家も建て、
さあこれからやっと自由な暮らしができる、
そんな矢先に病気になられました。

アルツハイマー。

今まで苦労も多かっただろう人生がやっと
自分のものになろうか、という時でした。

老境にさしかかった兄弟が集まって相談し
そのうちの一人が引き受けようということに
なったそうです。

けれども病状が進行し、入院が続きました。

寝たきりになり、栄養も人工で行うことに
なったそうです。

戻ることの無い坂道を下って行ったのです。

いつしか、いわゆる植物人間のようになられた。

面倒をみてくれる兄弟の認識をもなくした。

・・・

それからも何年も寝たきりで、先頃ついに寿命が
つきたのです。

亡くなられた御顔はその方の親族そっくりでした。


身の周りには何も残っていなかったそうです。
日用品から形見になるものまで、何もなし。

後見人の管理していた銀行の口座だけだった。

病院のベッドで死を待つ間に、親族もぽつりぽつり
先に亡くなってしまわれたそうです。
もちろん、何も認知できないまま。

後半生は数値だけの人生。
言う言葉がありません。