少なくとも一つ上は準備しておきたい

2012-09-03 15:22:25 | 塾あれこれ
色々な著書でも有名な野口悠紀雄さんが
算数や初歩数学で、「全て分かる必要はない、一つの単元が
70%できるようになれば次のステップに進めば良い」
と言われておりました。

(著書は未読ですから表現は不正確かも)

そもそも「分かる」とはどういうことか、難しいのです。

大学生でアルバイトをしていたころは
一つの単元を「まだ分かってないなあ」と延々引っ張って
いましたから、今頃になって反省です。

「分かる」ということが明確でないのに「分かっていない」と
言うこと自体がおかしいのです。

文科省が、正負の数がマスターできてこそ、文字式へ進め
文字式が分かって初めて方程式に進める、
・・こんなイメージを持たせますから。
「まだよく分かっていないナ。じゃ、次へ進めない」と
発想してしまうのです。

考えてみれば「進法とは何ぞや」が分からない小学生でも
二桁以上の計算をしています。

そのとき本当には分かっていなくても学習が進めば
あとから分かるようになるのです。

で、「ノリ」が大切なのですね。
もちろん、繰り返しますが、つねに分かるように努力する
部分がなければ、いずれ行き詰りますけれど。


もうひとつ関連することを付け加えます。
兄弟などが簡単に解き方を教え、「分かった」
として次へ行くのもよくないということです。
分かっていないのに分かったと思うのも危険ですね。


もっと上の段階に進んで「分かる」
そうすると初めて教えられるようになります。

少なくとも高校の数学が分かって初めて中学の数学が
教えられる、これが基本だと思います。

(友達に教えると自分も勉強になる、のは別次元の話)

私が塾業界に入ったあと、理科を教えられない
と言ったのは、その「一つ上」に自信がなかったからです。

例えば「オームの法則」の説明はできます。
E=RI
電圧=電流×抵抗
これで理科の問題は解けます。

でも「分かっている」のか?

抵抗とは何か?(流れにくさ)とは?

電気が流れている部分の材料や形状により
一定の電圧が掛かっていても、流れる電子の量が
変わってきます。

例えば
金属は流れやすく=抵抗が小さい
空気は流れにくい=抵抗大

その割合を電圧÷電流であらわしたのが抵抗
乱暴に言えば、ただの数字。

昨日書きました「こと」ですね。
「もの」ではありません。

私にはここまできてやっとピンとくる。
ピンときたら話し方、教え方の工夫はできます。

もちろん、抵抗を教えるのに
いつも「こと」を持ちだす必要はありません。
下手にしゃべるとかえって混乱します。

ただ本当に疑問があって困っている生徒に教える場合
有効になるかもしれません。
E=RIだけを覚えて計算しろ、
ではその子は救えませんから。


もちろん、より上の勉強も必要でしょう。たかが塾でもね。
終わりはありません。

いつ聞かれるか分からない、一生聞かれないかもしれない、
深くはないけれども横に広い知識の準備が必要です。

塾の先生って、何も新しく生み出さない仕事だから
それくらいは用意しておかないと、ね。

「教材だけ準備したのをもらってきて簡単に塾」って
よく耳にしますが(どこかにも広告があるか・・)
それじゃ無責任だよね。

他人のお子様をお預かりしてそんな無責任で良いの?