ウラをとる

2011-03-04 12:20:49 | 塾あれこれ
このブログで何度も書いていることですが
私は塾で仕事をする以前、31まで普通のサラリーマンを
していました。
とある限られた仕事を一筋です。

現場から書類が上がってきたものの内容をチェックし
権限者の決済を得る仕事です。

現場からは承諾を得べく、気を使い表面をとりつくろった
ものが上がってくることもあります。
万が一、そういうものがあれば、それにメクラ判を押すのでは
仕事になりません。
虚偽があるかないかを常に判断していねばならず
性悪説で日々をおくらねばなりませんでした。

それでは心身が持ちませんから、仕事とプライベートとでは
スタンスを変えようとしていました。
自分の時間では性善説。

区分けが成功していたかどうかは分かりませんが。


普通の会社勤めを辞め、塾に入って暫くのころです。
塾に出勤する途上で、女性に声をかけられました。
現在の佐伯区役所の裏あたりです。

「~に行きたいのだがバス代がない。貸して下さい」

このテの声かけをときおり受ける私です。
人が良さそう(この場合は、甘い人間)に見えるのかもしれません。
ぼ~っと歩いていますからねえ。

彼女はホームレスさん風にも見えず、本当にお困りかもしれない。
サラリーマンの仕事上での判断なら性悪説をとってお断りすべき
でしょう。
迷いましたが、言われた一部分のお金を「貸し」ました。
永久貸与ですね。
もちろん、お名前とか連絡方法とかの確認はいたしません。

塾に到着して仕事が始まる前、この(貸し)の話になり
「あんた、人が良いねえ」と笑われてしまいました。
後に塾が潰れた時の責任者です。

私としてはもう少し多額を「お貸し」した方が良かったかと
いう気もしています。

もちろん私が偽善者の顔をしたいというのではなく
怪しいなあ、とは思っていました。
ただ、できるならば人を疑ってかかる事はしたくありません。
気分が落ち込みますから。

でも今、自宅で塾をするようになった後は、お金その他の
お申込みをされても応えられません。あしからず。


いつものことですが書いている途中で話が曲がります。

会社の仕事でウラをとるということでした。

怪しい書類が上がってきたとします。
慣れてくると読まないでも一瞥でピンときますが、
カンだけで仕事を決定するわけにはいきません。

論理や証拠などに矛盾がないか、しっかり読み込みます。
裏もとります。
この3段階でほぼ判断が下せますので、書類作成者と
連絡をとり、対応をきめてゆきます。

ただ、本当はウラを取るだけでは不十分。

いつも怪しい書類が多い営業所やそういう人物の場合には
ウラをとると予想して書類を作成してくる事もあるのです。

数学の軌跡の問題で最後に「逆」を行って求めた式を
確定しますね。
私もそれと同様のことをしなくてはなりません。

今、初めて明かしますが、あえて「カマをかけて」いました。
わざと相手のごまかしにだまされた風を装って
「分かりました。だったら~になるのですよね」などと誘導すると
案外乗ってくるものです。

そういう「嘘が分かった」書類は返却。
再提出を求めます。


「それで現場には?
 もちろん何度か行かれて。。。それでね、決めた?ハイ。」

心では「嘘つけ!」
現場に行ってないことは調べてあります。

ウソだとは言えないので別にリクツをつけて返却します。
「電話で~と言ったが後で○○ということもあると分かり・・・」

嫌われる仕事でした。


私が威張りたかったという話ではありません。

正しい情報を上げて相談があれば「正解」は出るものです。

のちのち、相談を受けて私が「指南」しなくてはならなくなり
その様々な中にはストレスのかかるモノもありました。
競争社会の中での会社ですからねえ、性善説は通りません。

実はそれが厭で会社を辞めることになってゆくのです。