2018年春、済州徐福文化国際交流協会の理事長改選があり、ここ数年様々なことを乗り越えて一緒に取り組んできた金亨受理事長が交代しました。
元西帰浦市長だった金さんは、それでも今年度の徐福事業をより大きく推進できるようにと済州特別自治道と西帰浦市役所から多くの予算を獲得してきてくださいました。
新理事長は済州戦争歴史和平博物館館長・李英根さん。新とはいっても、もう何度も理事長経験があり、信頼できる方です。
役員交代はスムーズではありましたが、それでも一つの行事を中韓日の人たちが集っておこなうことはなかなか大変な作業があり、
直前までいや当日まであれやこれやと準備・確認作業に追われ、今はすべてが終わり、ようやくホッとしているところです。
今回は例年どおりの開催でカウントすれば第17回 韓中日徐福文化国際学術セミナーでした。
私はその第1回、2002年4月26日から断続的に参加しています。
第1回のセミナーは西帰浦徐福文化国際交流協会(当時)と済州学会との共催でした。
このときのことをよく覚えているのは、当時済州学会長だったソウル大・全京秀教授が国立民族学博物館にいらして、徐福を研究している方を探しているということで連絡があり、その時ちょうど書き上げた修士論文を持って大阪まで出かけていったのでした。
すると済州島で徐福をテーマにした学会があるから招聘する、ただもうプログラムが決まってしまっているのであなたに討論の時間をあげるから、あなたはその時間をフルに使って「日本における徐福伝説の現在」を発表しなさいと言ってくださったのでした。
あのときこの機会をくださらなかったら、そう思うほどに、このときの発表がきっかけとなり、多くの人との出会いが生まれ今に至っています。
そしてそれから16年、今年はセミナーに加えて第1回 韓中日徐福国際文化祭をおこないました。
新たに文化祭を開催することにしたのは、研究者交流に閉じることなく、今後日中韓のより若い世代に、広く伝承していくための文化交流をしようという主催者の思いがありました。その主旨に韓国済州特別自治道と西帰浦市役所も支援する形となったのです。
とはいうものの、徐福伝承地の芸術団ですか、はいはいというほど簡単に芸術団はみつかりません。
夏に韓国側と打ち合わせたときには、古い日本のイメージは戦争を想起させて受け入れ難いというような話もでて、これは難しいなと思いました。
そして徐福伝承地の宮崎県にある創作エイサー高鍋しんかんちゃ〜にお願いすることにしました。
創作エイサー 高鍋しんかんちゃ~
Creative EISA~ TEAM TAKANABE SHINKANCHA~
済州島公演責任者 黒木輝彦
日本の宮崎県は、九州の南東に位置し、海に面する市や町が多く、古くから様々な人物の渡来伝説があります。
徐福伝説はその筆頭で、上陸の際に船を繋いだと伝わる徐福岩が、今も延岡市にあります。
徐福と同じように、禎嘉王(父)・福智王(長男)・華智王(次男)・しぎの王妃(母)の百済王族の渡来伝説があり、
それぞれを祀る神社が美郷町・木城町・高鍋町にあります。
師走祭りは、この親子が再会する祭りとして、1300年以上も前から行われ、現在も受け継がれています。
海の向こうからやってくる人々を、宮崎の人々は、古くからあたたかく迎え入れてきたのです。私たちはこの高鍋から来ました。
「高鍋しんかんちゃ~」は、2007年に結成し、三世代に渡る会員(60名)が所属し、年間約50公演ほどの演舞をおこなっています。
2014年からは世界エイサー大会にも出場し、グランプリ部門特別賞など、受賞を重ねています。
私たちの演舞するエイサーは、沖縄では、先祖とその子孫を会わせるための供養踊りです。
三線、大太鼓、パーランクーの三つの楽器で、踊り継がれている伝統エイサー、現代風にアレンジした創作エイサーを、海に思いをはせてお楽しみください。
公演責任者のKさんは長年私が宮崎県美郷町の師走祭りでお世話になっている方です。無理なお願いをエイヤッと引き受けてくれました。
終わってしまえばヨカッタヨカッタで終わりますが、中国からは世界中で演奏旅行を重ねている江蘇女子民族楽団の出演が決まり、高鍋しんかんちゃ〜のみなさんは日本の代表として演舞するに恥じないものにしようと練習に励んでくださったとお聞きしました。
それは演舞で十分に伝わりました。また日中韓の文化交流という使命感をもって、会場を一つにしようと全力で演舞くださいました。
歴史的背景から、まだ日本と聞くと嫌悪感をもつ方もあるのが実情です。そのなかで笑顔と懸命な姿は言葉の壁を軽々と超え、本当に心を打ちました。
会場は大いに盛り上がり、演舞後、実行委員長の姜永植さんがすぐさまアンコールの指示を出したほどでした。
翌日には演舞スケジュールそのものを変え、高鍋しんかんちゃ〜を最後に持っていきました。演舞前後で記念撮影をしようと声をかけてくる方たちもありました。その一つ一つに丁寧に対応する姿にもまた多くの方が感激しました。
徐福研究者の交流は着々と年を積み重ねてきています。でもそれは深まっても次の新しい出会いを生んではいませんでした。
次の世代に私たちが何を残せるのかというとき、今回、徐福を通してなにかができると感じることができました。
本当のところ、文化祭だけでなく、これを私たちは徐福のセミナーの中でもやっていかなくてはならないだろうと思います。
今回、セミナーの午後の討論の中で、これまでの研究の問題点などがでてきて、それはかなり激しい発言でもありましたが、
持ち寄った発表に対して真剣に意見を言う場面はなかなかこれまでになく、こういう場面が作れるようになったとも思いました。
国と国との前に人と人との交流があり、それがいかに大切かを徐福文化祭で感じ取ってくださったかたもあったかと思います。
今度はこれをセミナーの場にも持っていきたいと、主催者はもう来年のことを考え始めています。
私もまた現場と研究の場を行き来しながら、徐福研究に励み、成果を出したいと思いました。
第1回 韓中日徐福国際文化祭/第17回 韓中日徐福文化国際学術セミナー
日時: 2018月 10月 20日(土)~ 10月 21日(日) 2日間
会場: 大韓民国済州特別自治道徐福公園(徐福展示館屋外イベント会場)/西帰浦KALホテル
日本からの参加者14名
田島孝子:日本徐福協会会長・神奈川徐福研究会会長
伊藤健二:日本徐福協会事務局長・神奈川徐福研究会事務局長
赤崎敏男:八女徐福会副会長
亀山 勉:徐福さん振興会(延岡)会長
逵 志保:愛知県立大学講師・済州徐福文化国際交流協会諮問委員・日本徐福協会顧問
創作エイサー高鍋しんかんちゃ〜:黒木輝彦、税田誠一、日高千晴、日高瑚乃香、倉掛智美、倉掛夢菜、黒木瑞穂、黒木煌、加藤瑞貴
(通訳:国立青少年教育振興機構青少年教育研究センター客員研究員・金光明)
2018年10月20日
第17回 韓中日徐福文化国際学術セミナー(西帰浦KALホテル)
テーマ:徐福と済州 ①歴史的考察 ②エコツーリズム開発
10:00-10:10 2018韓中日徐福国際文化祭の紹介 済州徐福文化国際交流協会理事長・李英根
10:10-10:30 基調講演「済州における徐福文化」中国徐福会会長・張雲方
10:30-12:00 研究発表
座長:済州徐福文化国際交流協会前理事長・金亨受
「韓国の徐福伝説とその実体化について−済州を例に−」中国徐福会顧問・連雲港市徐福研究所長 張良群(中国)
「不老草テーマパーク造成及び徐福展示館観光活性化の提案」(株)地域文化観光研究センター代表・李慶煥(韓国)
「徐福の東渡を活用した済州観光活性化対策−エコツーリズムとグリーンツーリズムを中心に−」前済州観光学会会長・高承益(韓国)
「神仙と徐福」日本徐福協会事務局長・神奈川徐福研究会事務局長・伊藤健二(日本)
「済州島の徐福文化とエコツーリズム開発」八女徐福会副会長・赤崎敏男(日本)
「漢川流域磨崖銘に投影された神仙思想の考察−神仙の道を提案しつつ−」李進榮(韓国)
12:00-13:00 昼食休憩
13:00-14:00 討論と質疑応答
座長:済州徐福文化国際交流協会前理事長・金亨受
大阪観光大学客員教授・金昌植(韓国)
済州道文化財委員・洪琦杓(韓国)
愛知県立大学講師・逵志保(日本)
済州国際大学教授・呉昌命(韓国)
韓国地域代表挨拶(南海、咸陽)
第1回 韓中日徐福国際文化祭(徐福公園(徐福展示館屋外イベント会場))
14:00−18:00
韓国の歌と舞踊
徐福祈願祭
江蘇女子民族楽団(中国の演奏)
創作エイサー高鍋しんかんちゃ〜(日本の演舞)
開会式挨拶
済州道知事
西帰浦市長
中国駐済州総領事・馮春台
済州徐福文化国際交流協会理事長・李英根
韓国の各徐福会(済州、南海、咸陽、巨済)締結式
カラオケ大会
2018年10月21日
15:00−18:30
韓国の歌と舞踊
江蘇女子民族楽団(中国の演奏)
創作エイサー高鍋しんかんちゃ〜(日本の演舞)
カラオケ大会
元西帰浦市長だった金さんは、それでも今年度の徐福事業をより大きく推進できるようにと済州特別自治道と西帰浦市役所から多くの予算を獲得してきてくださいました。
新理事長は済州戦争歴史和平博物館館長・李英根さん。新とはいっても、もう何度も理事長経験があり、信頼できる方です。
役員交代はスムーズではありましたが、それでも一つの行事を中韓日の人たちが集っておこなうことはなかなか大変な作業があり、
直前までいや当日まであれやこれやと準備・確認作業に追われ、今はすべてが終わり、ようやくホッとしているところです。
今回は例年どおりの開催でカウントすれば第17回 韓中日徐福文化国際学術セミナーでした。
私はその第1回、2002年4月26日から断続的に参加しています。
第1回のセミナーは西帰浦徐福文化国際交流協会(当時)と済州学会との共催でした。
このときのことをよく覚えているのは、当時済州学会長だったソウル大・全京秀教授が国立民族学博物館にいらして、徐福を研究している方を探しているということで連絡があり、その時ちょうど書き上げた修士論文を持って大阪まで出かけていったのでした。
すると済州島で徐福をテーマにした学会があるから招聘する、ただもうプログラムが決まってしまっているのであなたに討論の時間をあげるから、あなたはその時間をフルに使って「日本における徐福伝説の現在」を発表しなさいと言ってくださったのでした。
あのときこの機会をくださらなかったら、そう思うほどに、このときの発表がきっかけとなり、多くの人との出会いが生まれ今に至っています。
そしてそれから16年、今年はセミナーに加えて第1回 韓中日徐福国際文化祭をおこないました。
新たに文化祭を開催することにしたのは、研究者交流に閉じることなく、今後日中韓のより若い世代に、広く伝承していくための文化交流をしようという主催者の思いがありました。その主旨に韓国済州特別自治道と西帰浦市役所も支援する形となったのです。
とはいうものの、徐福伝承地の芸術団ですか、はいはいというほど簡単に芸術団はみつかりません。
夏に韓国側と打ち合わせたときには、古い日本のイメージは戦争を想起させて受け入れ難いというような話もでて、これは難しいなと思いました。
そして徐福伝承地の宮崎県にある創作エイサー高鍋しんかんちゃ〜にお願いすることにしました。
創作エイサー 高鍋しんかんちゃ~
Creative EISA~ TEAM TAKANABE SHINKANCHA~
済州島公演責任者 黒木輝彦
日本の宮崎県は、九州の南東に位置し、海に面する市や町が多く、古くから様々な人物の渡来伝説があります。
徐福伝説はその筆頭で、上陸の際に船を繋いだと伝わる徐福岩が、今も延岡市にあります。
徐福と同じように、禎嘉王(父)・福智王(長男)・華智王(次男)・しぎの王妃(母)の百済王族の渡来伝説があり、
それぞれを祀る神社が美郷町・木城町・高鍋町にあります。
師走祭りは、この親子が再会する祭りとして、1300年以上も前から行われ、現在も受け継がれています。
海の向こうからやってくる人々を、宮崎の人々は、古くからあたたかく迎え入れてきたのです。私たちはこの高鍋から来ました。
「高鍋しんかんちゃ~」は、2007年に結成し、三世代に渡る会員(60名)が所属し、年間約50公演ほどの演舞をおこなっています。
2014年からは世界エイサー大会にも出場し、グランプリ部門特別賞など、受賞を重ねています。
私たちの演舞するエイサーは、沖縄では、先祖とその子孫を会わせるための供養踊りです。
三線、大太鼓、パーランクーの三つの楽器で、踊り継がれている伝統エイサー、現代風にアレンジした創作エイサーを、海に思いをはせてお楽しみください。
公演責任者のKさんは長年私が宮崎県美郷町の師走祭りでお世話になっている方です。無理なお願いをエイヤッと引き受けてくれました。
終わってしまえばヨカッタヨカッタで終わりますが、中国からは世界中で演奏旅行を重ねている江蘇女子民族楽団の出演が決まり、高鍋しんかんちゃ〜のみなさんは日本の代表として演舞するに恥じないものにしようと練習に励んでくださったとお聞きしました。
それは演舞で十分に伝わりました。また日中韓の文化交流という使命感をもって、会場を一つにしようと全力で演舞くださいました。
歴史的背景から、まだ日本と聞くと嫌悪感をもつ方もあるのが実情です。そのなかで笑顔と懸命な姿は言葉の壁を軽々と超え、本当に心を打ちました。
会場は大いに盛り上がり、演舞後、実行委員長の姜永植さんがすぐさまアンコールの指示を出したほどでした。
翌日には演舞スケジュールそのものを変え、高鍋しんかんちゃ〜を最後に持っていきました。演舞前後で記念撮影をしようと声をかけてくる方たちもありました。その一つ一つに丁寧に対応する姿にもまた多くの方が感激しました。
徐福研究者の交流は着々と年を積み重ねてきています。でもそれは深まっても次の新しい出会いを生んではいませんでした。
次の世代に私たちが何を残せるのかというとき、今回、徐福を通してなにかができると感じることができました。
本当のところ、文化祭だけでなく、これを私たちは徐福のセミナーの中でもやっていかなくてはならないだろうと思います。
今回、セミナーの午後の討論の中で、これまでの研究の問題点などがでてきて、それはかなり激しい発言でもありましたが、
持ち寄った発表に対して真剣に意見を言う場面はなかなかこれまでになく、こういう場面が作れるようになったとも思いました。
国と国との前に人と人との交流があり、それがいかに大切かを徐福文化祭で感じ取ってくださったかたもあったかと思います。
今度はこれをセミナーの場にも持っていきたいと、主催者はもう来年のことを考え始めています。
私もまた現場と研究の場を行き来しながら、徐福研究に励み、成果を出したいと思いました。
第1回 韓中日徐福国際文化祭/第17回 韓中日徐福文化国際学術セミナー
日時: 2018月 10月 20日(土)~ 10月 21日(日) 2日間
会場: 大韓民国済州特別自治道徐福公園(徐福展示館屋外イベント会場)/西帰浦KALホテル
日本からの参加者14名
田島孝子:日本徐福協会会長・神奈川徐福研究会会長
伊藤健二:日本徐福協会事務局長・神奈川徐福研究会事務局長
赤崎敏男:八女徐福会副会長
亀山 勉:徐福さん振興会(延岡)会長
逵 志保:愛知県立大学講師・済州徐福文化国際交流協会諮問委員・日本徐福協会顧問
創作エイサー高鍋しんかんちゃ〜:黒木輝彦、税田誠一、日高千晴、日高瑚乃香、倉掛智美、倉掛夢菜、黒木瑞穂、黒木煌、加藤瑞貴
(通訳:国立青少年教育振興機構青少年教育研究センター客員研究員・金光明)
2018年10月20日
第17回 韓中日徐福文化国際学術セミナー(西帰浦KALホテル)
テーマ:徐福と済州 ①歴史的考察 ②エコツーリズム開発
10:00-10:10 2018韓中日徐福国際文化祭の紹介 済州徐福文化国際交流協会理事長・李英根
10:10-10:30 基調講演「済州における徐福文化」中国徐福会会長・張雲方
10:30-12:00 研究発表
座長:済州徐福文化国際交流協会前理事長・金亨受
「韓国の徐福伝説とその実体化について−済州を例に−」中国徐福会顧問・連雲港市徐福研究所長 張良群(中国)
「不老草テーマパーク造成及び徐福展示館観光活性化の提案」(株)地域文化観光研究センター代表・李慶煥(韓国)
「徐福の東渡を活用した済州観光活性化対策−エコツーリズムとグリーンツーリズムを中心に−」前済州観光学会会長・高承益(韓国)
「神仙と徐福」日本徐福協会事務局長・神奈川徐福研究会事務局長・伊藤健二(日本)
「済州島の徐福文化とエコツーリズム開発」八女徐福会副会長・赤崎敏男(日本)
「漢川流域磨崖銘に投影された神仙思想の考察−神仙の道を提案しつつ−」李進榮(韓国)
12:00-13:00 昼食休憩
13:00-14:00 討論と質疑応答
座長:済州徐福文化国際交流協会前理事長・金亨受
大阪観光大学客員教授・金昌植(韓国)
済州道文化財委員・洪琦杓(韓国)
愛知県立大学講師・逵志保(日本)
済州国際大学教授・呉昌命(韓国)
韓国地域代表挨拶(南海、咸陽)
第1回 韓中日徐福国際文化祭(徐福公園(徐福展示館屋外イベント会場))
14:00−18:00
韓国の歌と舞踊
徐福祈願祭
江蘇女子民族楽団(中国の演奏)
創作エイサー高鍋しんかんちゃ〜(日本の演舞)
開会式挨拶
済州道知事
西帰浦市長
中国駐済州総領事・馮春台
済州徐福文化国際交流協会理事長・李英根
韓国の各徐福会(済州、南海、咸陽、巨済)締結式
カラオケ大会
2018年10月21日
15:00−18:30
韓国の歌と舞踊
江蘇女子民族楽団(中国の演奏)
創作エイサー高鍋しんかんちゃ〜(日本の演舞)
カラオケ大会