2015年1月25日(日)
これまでで最も滞在時間の短い師走祭り、
ええもう?という感じで常宿「
いちもり」を発つ。
社務所ではもうへグロ塗りの準備が始まっている。
炊事係のNさんから、祭事のときに鯛を配る役かお神酒をつぐ役か、どちらかを手伝うようにいわれる。
「鯛を配る」というのは、大きな焼鯛を箸で取り分け、神職・伶人、総代らの手に乗せていくという
この私の箸使いでは祭事が終わらなくなるのではないかというような不安な作業。
お神酒担当を願い出る。
お神酒を配り終えたらへグロ塗りのスタート。
その時点では私たち炊事係の女性しか墨を持っていないので、
一人ずつ心を込めて塗ってあげる。
で、これもまた一回りすると今度は宮司から返杯ならぬ、返塗り?が始まる。
ああ、ここからはもう悪夢。
今年は羽交い締めにされて完全に塗られた。
自分ではわからないけれど、カメラマンが撮らせてと何人も来たから、
大変素晴らしい塗られぶりだったと思う。
太鼓の合図で社殿に戻り、そこから別れの「おさらば」。
初日の迎え火のあったところまで出て、遠く比木神社の方たちが見えなくなるまで大きな声で「おさらばー」と叫び見送る。
地域の中学生たちが息切れする私たちを助けてくれた。
「終わっても鳥居のところで記念撮影するからすぐに帰らないで」
途中でそんな申し渡しがある。
それって私が数年前に、せっかくだからみんなでの写真を撮りたいと思って
鳥居のところで写真撮らせてくださいといって始めたこと。
そんなこと何年も経ってから提案できたことだから、
まだ数年分しかないけれど、社務所にはその記念の集合写真が並べて貼ってある。
いつの間にか「鳥居の前で写真」となっていて、他のカメラマンも鳥居で待っていたりする(笑)。
ここでいうカメラマンはプロアマ問わずだけれど、この祭りは何年も通うカメラマンも多い。
私がいつも神社の法被を着せてもらうのは、
実は私が神社の方たちの周りをちょろちょろあるきまわるのをカメラマンが嫌って
どいてくれというのを宮司が知って、そんなこと言われるなんてと法被を着せてくれるようになった。
以来、私は神社関係者、カメラマンの態度は変わり、いまや「名誉氏子」の称号授与もまじかではないかとの噂だ(?)
社務所にかえり、火の神祭り、
そこからあとは直会。祭りが終わり、ほっとしたみなさんと日々の話に笑う。
夜どのくらい鹿に遭遇したか、
なば(しいたけ)を語らせたら右にでるものがいないというYさんの農園には
ここはマチュピチュだとかなんだとか、「ナイトスクープ」に出られそうな看板があるとか。
また来年、と別れを惜しみながら直会を辞した。
帰りは日向に帰るエミリさんの車に乗せてもらう。
彼女もまたはじめてあったときは学生だったけれど、いまでは二児の母。
子育て話や家族の話(全員知ってる)など、あっという間の一時間だった。
本当にみなさんの親切で私の「里帰り」は今回も無事におわりました。
今朝、師走祭りのことが宮崎日々新聞に「平成大合併の轍踏むな」と題して取り上げられていました。
この祭りが村が「寂しくなった」と記されていました。
確かにここ十数年で、緩やかな下降線で祭りに集まる人たちは減っているように思います。
それでも私がその場にいて思うのは、祭りを担う方たちの思いは決して寂しくはない!ということ。
以前は百済王伝説がもっと大きく取り上げられ、総代の方たちもその伝説と祭りを語っていました。
私も百済王伝説が調査のきっかけでした。
いま、神門の方たちからはそんな話はあまり聞かれなくなりました。
それでもこの祭りに、入り厄の方たちは魅せられていました。
こんな体験ができてよかったと話していました。
総代の方たちはこの祭りを自分たちが次の世代に伝えていきたいと話します。
炊事係の女性たち、たぶんこの祭りで一番大変なのはこの炊事係なのですが
それでもこの祭りのためだと思うと頑張らなきゃと思うと話していました。
今回、長年この祭りを支えてきた生き証人とも言える比木神社の元宮司が初めて参加できませんでした。
祭りそのものは滞りなく進みましたが、それでも神職・伶人のかたたちにとっては
大黒柱が不在の祭りを自分たちで成し遂げていく責任感と達成感とで今年は特別の年だったように思います。
この師走祭り、この南郷神門、そのこれからは決して寂しくないと思います。
だからこそ、この祭りのこのなんとも言えない暖かさや穏やかさを
私と同じように心で感じてほしいなとおもいます。
他所者だけれど決して他所者でないこの思い。
祭りのあとのなんともいえない寂しさを感じながら
また明日から頑張ろう!とおもいます。
がんばろう!その思いの後にはたくさんの本当にたくさんの支えがあること、
神門に行くと、ああ私は一人ではないなと思います。
たくさんの顔を思い出して、ああ、来年もみんなと元気な顔で会おうと思います。
師走祭りを終え、新年きっといいことがありますように!
みなさん、本当にありがとうございました!!