2019年8月23日−24日、宮崎県東臼杵郡美郷町で「第2回西の正倉院みさと文学賞」現地セミナーがおこなわれることになり、夏の美郷町へでかけました。1月に行われる美郷町南郷神門の「師走祭り」には2003年から通っていますが、それは一年で一番寒いときのお祭りです。初めて夏の美郷町に出かけることになりました。
8月23日9:50、宮崎ブーゲンビリア空港着。現地ツアーの参加者・スタッフは東京からの昼前着便なので、それまで空港でパソコンに向かいました。
先ずしなくてはならなかったのは、秋の徐福伝説のイベントに名古屋−済州島便(長いことなかった直行便が復活しました)のチケットを購入していたのですが、前日夕方、満席だったはずのこの直行便の欠航を伝えるメールが飛び込んできて、少なくなった日韓、韓国国内便を組んで、なんとか当日間に合うようにチケットを取らなくてはなりませんでした。なんとかソウル経由の便が取れましたが、いま、日韓関係はまたしても民間交流に影響を与えるような事態になっています。
そんないま、今回の現地セミナーで私が担当するのは「百済王伝説概論」です。地域の人々がどのように百済王伝説を自分たちのものにしてきたか、長年の師走祭りの調査(なのか?)でわかったことを、「みさと文学賞」に応募する小説のほんの少しでもヒントにしてもらえたらと思いました。
現地セミナーは美郷町到着の23日午後から始まりました。はじめは長年「百済の里づくり」に関わってきた原田須美雄さんの「小さな村の大きな挑戦−百済の里宣言と西の正倉院建立」。昨年度の「第1回西の正倉院みさと文学賞」では地域の案内役を務めながら、自身で書き上げ、審査員特別賞を受賞しました。
24日は町内を観光したあと、私が「百済王伝説概論」、そのあとは審査委員長・中村航さんの「小説の作り方」の基礎編、実践応用編。折角の機会だったので私も拝聴したのですが、語り口も軽快で、私も書いてみたいなと思わせてくれるものがありました(書けません!)。
今回、スケジュールが詰まっていることもあって、師走祭りのときにお世話になる方とはお会いできないなと諦めていたのですが、宿泊先が定宿であったこと、神門神社境内を掃除している方、南郷温泉の方、なんだかやっぱり帰ってきた気分になりました。神門神社宮司は牛舎で牛の出産に立ち会っていたところ、わざわざ顔を出してくださいました。
午前中、参加者のみなさんが町内観光をしている間に、私はセミナー会場でセミナーの準備をしていました。すると、神門神社惣代さんが会場に入ってきました。わざわざ気にかけてきてくださった、それだけで嬉しくなりました。惣代さん、会場を見まわし、「ツジちゃん来てるのに」と言って電話をかけ始めました。目の前で動員しています。ありがたいなあ、私も電話口に出されたりして。
そうするうちに百済の里づくりに尽力なさった元村長(94歳!)が入ってきてくださいました。お元気そうで、再会を本当に嬉しく思いました。その後、呼び出された神社惣代長、神社宮司も入ってきてくださって、時間になって観光を終えた参加者のみなさんが入ってくると、机と椅子が足りず、急いで追加設置されました。終わると師走祭りのまかないでお世話になっている方も息子に言われたって駆けつけてきてくださっていました。
神門の方たちのこのあたたかさ、涙が出そうでした。
長年ここで私は話を聞くばかりで、話をするのは初めてのことでした。セミナー参加の都会の方たちだけでなく、この地元の師走祭りでお世話になっている方にも私の見てきたことを聞いていただけたことは嬉しいことでした。
このあと、午前の初級編、午後の実践応用編と中村航さんの「小説の作り方」講座がありました。軽快な話しぶりに、なんだか自分にも書けるような気がしてくるから不思議です。スタッフのみなさん、参加者のみなさんも楽しい方たちで、あっという間の2日間でした。
宮崎空港で名古屋便が1時間遅れとなり、この2日間の楽しかったことを思い出しながら書いています。
夏だけれど「おさらばー」、今年は美郷町南郷に3度目の里帰りでした。