韓国にいる間にサクサクとブログを更新しよう、できればこの夏書けなかったことも滞在中に書いてしまおうとおもっていたのですが、なんのなんの、帰宅してやっと書いています。その原因は明らか。ホテル(咸陽から車で1時間半ほど離れた晋州泊)のワンフロアがサウナ(大浴場)になっていたので、一日のスケジュールが終わると喜び勇んで出かけていって、すっかりくつろいでバタンキューだったのです。滞在期間、ちょっといつもの時計がゆっくりまわってくれたような、穏やかな時間を過ごすことができました。
それでは忘れないうちに。
9月11日(月)
一日早く到着した私たちは、徐福が不老草を探し求めた三神山のひとつ「方丈」とかつて言われていた智異山登りの予定だったのですが、午前中は雨が激しく予定変更。一年ほど前にできたLAND&HOUSING MUSEUMにでかけました。市と国でつくったなかなかお金の掛かった博物館で、韓国版「三丁目の夕日」のような展示があり、家づくりから町づくり、水利などの資料もあって、農業用水に関わる私にはとても面白い展示でした。
午後、他のメンバーが到着し、合流。夕方、車で1時間半ほどかけて智異山の北にある(南には徐市川)馬川面という地域の「徐嵒(がん)洞」(ここちょっと自信ありません。「徐庵亭」とも聞きましたが、あのお寺と石造りのところ、どういう名称でしょう?)に行きました。いまでは新らしい建物になっていますが、この地のことは1600年代に徐福のこととともに記述されているのだそうです。
歓迎晩餐会では、この地区に徐福公園を作る計画があると聞きました。計画には徐福松林というのもありますが、徐福の松といえば熊野の徐福の松、七里御浜のあたりにあったといいますがいまはその面影はありません。海を超えて徐福の松誕生となりそうです。
9月12日(火)
智異山国立公園50周年記念事業 2017年 韓・日・中 徐福国際学術シンポジウム
10:30−11:00 登録
11:00−11:30
開会の辞 慶尚南道発展研究院長 劉性玉
歓迎の辞 咸陽郡守 林昌浩
祝辞 咸陽郡議会議長 林在邱
慶尚南道議員 陳炳榮
咸陽山蔘祭委員長 河宗煕
11:30−12:00 基調講演 「韓国における徐福伝説の新発見と韓中日のネットワーク構築策」中国徐福会会長 張雲方
12:00−13:30 昼食
13:30−14:00 祝賀公演 「徐福−中国、韓国から日本へ」八女徐福会
14:00−16:30 発表 「中韓日に展開するグローバルな伝説−徐福伝説研究30年を振り返る−」愛知県立大学講師 逵志保
「徐福文化と山養蔘不老草」咸陽徐福会会長 文浩成
「佐賀の徐福伝承と徐福長寿館を拠点とした活動」佐賀県徐福会事務局長 廣橋時則
「福岡八女の徐福伝承と広報活動」八女徐福会副会長 赤崎敏男
「草坪徐福末裔由来と徐福宗詞建設」江西臨川徐福会会長 徐恒堂
蘇州徐福研究会事務局長 顧金榮
「慶尚南道徐福の文化と韓日中観光・経済的協力案」慶南発展研究院研究委員 金兌泳・研究員 蘇恩英
総合討論 座長 金兌泳
南海徐福会会長 朴昌鐘、巨済徐福会会長 朴炅浩、済州徐福文化国際交流協会理事長 金亨受
今回のシンポの企画運営の中心となった慶南発展研究院研究委員の金兌泳さんによれば、金さんが徐福のこうしたイベントに出かけた初めての会は2009年の中国連雲港市での開催で、このとき「徐福はやれる」と思ったのだそうです。以前同じことをおっしゃった中国の研究者がいましたが、嬉しいことです。こうして徐福は一層広がりを持ってきています。
この地でのシンポジウム開催は2011年、2013年、2016年とこれまでに3回。2011年には招かれましたが、2013年と昨年は日本人の参加はありませんでした。2016年から咸陽徐福会(現在会員数16名)が開催に関わるようになったそうです。
咸陽は山蔘(天然の高麗人参)の名産地のようで、この山蔘が徐福が探し求めた不老草では?ということで、今回も山蔘祭りの日と合わせて徐福シンポはおこなわれました。そんなわけで、シンポが終わって祭りの会場に移動すると、山蔘掘りを体験させてもらいました。
生のまま持って帰ることはできないからとあとでコンビニで焼酎を買ってきて漬けてみましたが、高麗人参よりはるかに高価な山蔘、露店では小指サイズで10万ウォン(約1万円)していて、もちょっと高価な焼酎買ってありがたく演出すればよかったと思いました。この咸陽、2020年に万博が予定されており、来年以降も徐福のシンポを重ねていきたいとのこと。徐福伝説への地域の期待を感じました。
9月13日(水)
シンポジウムを無事に終え、それぞれ帰国の途へ。というところですが、私は飛行機の時間が合わずこの日は釜山泊まり。夕方便のために午前中は観光するという方たちと一緒に国立晋州博物館を案内いただきました。
この博物館、もともとは伽耶のことを展示していたそうですが、いまは文禄・慶長の役、こちらでは壬辰倭乱というのだそうですが、これに特化した博物館で、以前出かけた佐賀県の那古屋城博物館と海を挟んで建てられているような印象の博物館でした。こういうところに思いがけず足を運ぶことができて良かったです。徐福研究をするうえで、こうした歴史を背景として押さえていくことが一層求められているように思いました。
昼食後、釜山の金海空港までのバスのなか、ふと目を覚ますとテレビ東京の「孤独のグルメ」をやっていました。時代は変わったと思いました。
夕方金海空港着、主催の方々には本当にお世話になりました。はじめはもうホテルに直行して休もうとも思ったのですが、韓国通のAさんが甘川文化村にでも行っておいでと提案してくださって、Aさんのお弟子さんの韓国人H君がそれはそれは丁寧に行き方を紙に書いてくれたりして、こんな親切を前に行かずにはいれないわと思い、地下鉄とバスを乗り継いで甘川文化村で遊びました。
坂道をぐんぐん登ってたどり着くこの村。親切な誘導がなかったらきっといかないままだったでしょう。ありがとうございました。
晩にホテルに入り、これもおすすめで東横インにしてみたのですが、完全に日本と同じビジネスホテルなわけですが、晋州のホテルがものすごく広い部屋と大きなベッドで、大げさでなく部屋でなにをするのも小走りしていたので、閉所恐怖症になるかと思いました。
楽しい4泊5日はあっという間にすぎて、昨日帰宅、今日からもちろん仕事に出ています。のんびり過ごしましたが、その間にもいろんなことを相談したり、聞き取りしたり、顔を合わせてでしかできない貴重な時間を過ごすことができました。
徐福の秋、今年も始まりました。