味園博之のブログ-文武両道「空手道と南洲翁遺訓」他古典から学ぼう

平成の今蘇る、現代版薩摩の郷中教育 
文武両道 「空手道」と『南洲翁遺訓』を紹介するブログ

伯夷叔斉は旧悪を念わず、怨み是れ以て希なり。

2015-07-14 12:03:41 | ブログ
第2389号 27.07.14(火)
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伯夷叔斉(はくいしゅくせい)は旧悪を念(おも)わず、怨み是れ以て希なり。『文章規範』
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 伯夷、叔斉は相手の人の過去の罪悪過失のことは、忘れて念頭におかない。であるから彼等は人の怨みを買うことも、ほとんどなかった。(司馬遷「伯夷伝」)519
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 【コメント】この言葉を知ったのが30年前のことでした。『南洲翁遺訓』第31章に「伯夷の頌」という言葉が出てきたものですから、伯夷の頌を一所懸命読んだものです。
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 人間には感情があり、その感情が時として判断を誤り、邪な方へ行くことだってあるものです。それに気づいた場合は訂正をすれば済むことなのです。ところが歳若き青年が、父親ゆずりの頑固さを受け継ぎ、結婚したばかりの新妻に脅迫めいたことを言い、誓約書を書かせたとしたらどうなるでしょう。
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 退職した元警察官の人に、新妻が書かされたということを話したら、事件化しないうちに相談に行ってくださいと助言をされました。私は当該本人・新妻を呼び、お互いよかれと思ってのことだから、物事は善意に解釈しなさい、悪く解釈したらキリがないのです、と言い聞かせたのでした。脅迫をされた上殴られたという新妻は、夫を殺しますと私に言ってきたのです。その時は完全にパニックになっていたと思われます。
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 夫の両親に話をしようと思っても、そういうことをいちいち言いにくるなと言われているものですから、人あたりのよい私に相談にくるのです。だから関係者には日々に漢籍を繙きなさいと言っているのですが、難解だという観念が先行しているように思われます。
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 連日、子供たちのいじめ問題が喧伝されていますが、中学生の自殺について、所轄の警察署に原因究明を願い出たとテレビ報道がありました。警察の方々はただでさえ超多忙なのです。先ずは、自宅で子供の動きを観察しなければならないのです。
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 そして遅刻をした生徒に、石の上に静坐をさせたとして教諭の方の処方に賛否両論ありますが、静坐は身体のためにいいのです。足の骨が折れる訳でもなし、血が出るわけでもなし、保護者は喜ぶべきだとおもいます。忍耐づよくなるからです。死ねと言われたから死ぬ、なんてことをしてはなりません。自殺をするために生れてきたのではないのです。
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 私の幼少時代の枕崎では、それはそれは凄いいじめが蔓延していました。刃物で刺されてもいないのに、自分から死んではならないのです。

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『大学味講』(第226回)
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 (3) 「土有れば此に財有り」で、その「人」による「土」---即ち「生産手段」---の活用によって、おのずから生産が上がり、「財」を生ずるに至るのであります。そして
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 (4) 「財有れば此に用有り」となるのであります。「用」とは何か。一体この「用」という字は、多くの人々は「もちいる」という意味にだけ解しているようですが、「作用」と熟語されるように、この字には「はたらき」という意味もあるのであります。この「もちいる」と「はたらき」の二つの意味は、実は相関連するのでありまして、「はたらき」があるから「もちいられる」のであって、「はたらき」がなかったら「もちいられる」こともないでありましょう。というわけで「財有れば此に用有り」というのは、財が生ずれば、それをいろいろの事にはたらかせて、もちいることが出来る。----これを裏返しにいうならば、その財をもちいて、いろいろのはたらきをすることが出来る---となるのであります。このことは、いかなる政策も、それに予算がともなわなければ行われないのを見ればわかることでありまして、この意味において「財」は甚だ貴いものであります。

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『論語』(第326)
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 子曰はく、君子は和して同せず。小人は同して和せず。
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 孔子が言うには、君子は和衷協同するが、付和雷同しない。小人は付和雷同するが、和衷協同しない。
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『農士道』(第205回)
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    内  篇
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 「明月や池をめぐりて夜もすがら」これも勿論ゆかしく、又、美しいことではある。然しこれでは要するに池にうつる明月の美しさを外から観賞し憧憬することは出来るであろうが、未だ其の中に入って、冷暖を自知し、明月其のものをつかむわけにも行かぬ。其の池の水が冷たかろうが、暖かろうが、一番思い切って其の中にとびこんで見ねば味わい得ないものがある。かくて「古池や蛙とび込む水の音」が亦是非識りたいものである。
 船に乗るのは向う岸に到る為である。一旦彼岸に就いたらば、敢然船を捨てて彼岸の山岳を踏破せねばならぬ。

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