タイイトル---『孝経』の紹介。---孝道著わる。第958号 23.08.31(水)
〈天地人民有りて自(よ)り以来、而うして孝道著(あらわる)。上に明王あれば、則ち大化滂流(ほうりゅう)して、六合に充塞す。若(も)し其無ければ、則ち斯の道滅息(めっそく)せん〉
「この世に天地や人民が出現してからこのかた、聖なる先王や聖人が現れて、人として最も大切な道を教えたので、子が父母に善く事える孝道が明らかに示された。上に聖王があって、孝行の手本を示されたから、その広大な徳が自然に人民を感化し、すみずみまで下人民にゆきわてって上下四方、天地間にみちふさがった。もしも、そのような聖王がおられなかったら、このような大切な孝道は滅んでなくなっていたかも知れない。」
〈夫子、先王の教えを魯の洙泗(しゅし)に敷く。門徒三千[人]にして、達する者七十有二(いうに)なり。〉
「孔子は先王の教えをせめて孔子の膝下である魯の洙水や泗水のあたりに孝道の気風を推し広めることに努力していた。孔子の学風を慕い、孔門に在って孔子の教えを受けた門人の数は、三千人もの多きに上っており、その中に在って一芸に秀でた高弟は、七十有二人を算するに至る。」
〈曾子喟然として孝の大為(た)るを知るなり。遂に集めて之を録し、名づけて孝經と曰う。五經と竝びて世に行はる。〉
「曾子は感慨深げに始めて孝がこれほどまでに偉大であるということの実感を知ることができたという喜びを体得している。この貴重な体験を後世に伝えるべきであるとして、孔子の得難い言を集めて記録して、その書を『孝経』と名付けた。この書(孝経)が五経(易・書・詩・礼・春秋)と並んで世に貴ばれ、世に行われるに至ったのである。」
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紹介するためこうして書きながら、書の偉大さを痛感しています。独学で訳は分からないまま、筆写し、録音し、聞いてきました。その奥義にふれ喜びに浸っています。
昨日は民主党・野田氏が総理大臣に選出されました。そしてまた芸能会の島田伸介引退でマスコミは大賑わいです。多くの人々が、こういった漢籍を繙きその世界を逍遥すれば、多くの確執は解消され、世の指弾を受けるのも減少するのにと思えてなりません。
漢籍はただ読み継がれているのではない、素晴らしいから永遠の教科書として読み継がれてきたのだと思います、安岡先生も、『孝経』は偉大だ、素晴らしいと絶賛しています。折角、この世に生を得たのですから、為し得た業績が、後世の人々から最低であったと低い評価をされるとしたら、これほど残念なことはないと思います。歴代内閣総理大臣で最低だったといわれるのならしない方がましというものでしょう。
より意義ある人生を歩きたいものです。