味園博之のブログ-文武両道「空手道と南洲翁遺訓」他古典から学ぼう

平成の今蘇る、現代版薩摩の郷中教育 
文武両道 「空手道」と『南洲翁遺訓』を紹介するブログ

偉人の紹介『ウイルソン』。

2011-01-29 16:14:11 | ブログ

タイトル---偉人の紹介『ウイルソン』。第734号 23.01.29(土)

 米国大統領(1856?1924年)。プリンストン大学総長より、州知事に選ばれて政界に入り、世界大戦中の大統領として、国際連盟の提唱者として有名である。 

 謙虚な心だけが神の宿所となる。

 大統領となったウイルソンは、何よりも政党政治の弊害というものを痛感していた。だから彼は『公正』をモットーとした。どんなに自分が世話になった我が党の有力者でも、どんなに親しい友達、近親のものの言うことでも、『公正』でないと思うことは、ピシピシはねつけた。そのため彼は、『彼ほど冷酷な男はない。まるで人情を知らぬ』と、到るところで非難されたが、彼は決してその主義を枉げようとしなかった。

 大統領の任期が、まさに終わろうとする時のこと、一人の老人に対する特赦の請願が来た。それは銀行法違反の廉によって、有罪禁錮の刑を申し渡されていた者であったが、よく調べると、その間、実に気の毒な事情があった。この憐れな老人を助けるには、大統領が特赦に署名するより他にはない!

 ウイルソンの周囲の家族の人達も、みんなこの老人に同情して、是非助けてやってくれと頼んだ。秘書のタマルチーも、

『閣下は日頃、不人情だと言って、世間から非難されています。それが間違った非難だということは、私はよく知っています。どうかこの事件で、閣下の深い慈悲心をお示しになって、任期の最後をお飾りりになりますように』と、たって懇請した。が、ウイルソンは頑として聴かなかった。

『私は断じて署名することはできぬ。家族のものは、みんな私にそれを勧めているが、二三の家族のために、大統領が判断を枉げたとあっては、一億二千万の国民の信頼を裏切るものである』

 その厳たる言葉には、タマルチーもあきらめるより他はなかった。ところがそれから数日して、彼は秘書に一枚の書面を渡した。見ると、大統領が署名した特赦状だ。タマルチーは吃驚した。

『やぁ、これは----』

『うン、私はあれから、よく考えて見た。そして私の間違ったいたことが判ったのだ。あの時は家族のものが、いろいろ喧しく言うものだから、「公正を失ってはならぬぞ!」と用心しすぎたために、却って公正を失うことになったのだ。それに私は、八年の間、公正を守って来た。ーーそうした自覚が、知らず識らず、私の心が傲慢となっていたのだ。そして私の判断を曇らせていたのだ。私は今に至ってはじめてツクヅク覚ったよ。ねえ、タマルチー君』

『ハア』

『謙虚な心だけが、神の宿所となるということちをーー』


『礼節のすすめ』の紹介--10.

2011-01-28 13:56:51 | ブログ

タイトル---『礼節のすすめ』の紹介。第733号 23.01.28(金)

 愛甲局長物語を第731号に引き続いてご紹介します。会社で、役所で、人の上に立ち仕事をさせなければならない方は必見です。愛甲局長ほど人使いの上手い人はいませんでした。人によっては部下がよく働いてくれないといって悩んでいる人もおられるでしょう。それらを分析して見ると、人を使う側に問題がある場合があります。

 若い社員らは仕事をするために会社に入社するわけですが、最初から順調に出来る筈がありません。そこは、上に立つ人が、仕事を好きになるよう導いて行かなければならないのです。

.………

 愛甲局長が退職してからのこと。庶務課長が愛甲宅にやって来ました。

「局長さん(つい先日までそう呼んでいた)、誠に申し訳ない事態が起きました。書類に押印しなければならないのが出てきました。つきましては、印鑑を貸してくださいませんでしょうか」

と局長におそるおそるお願いしました。何と言って怒られるか、覚悟はしているものの、庶務課長は恐怖に満ちた顔をしていました。

「印鑑は貸さない」

と愛甲局長。庶務課長は顔面蒼白になりました。

「印鑑は貸さないが、あなたに上げるから自由にしなさい」

 そう言って引出から印鑑を持って来て渡しました。庶務課長は、またまた度肝を抜かれました。

 愛甲局長は現職時代、厳しく指導すると同時に、庶務課長の人間の中身を十分観察してきました。信用出来ないような人間なら、「貴方に上げるよ」なんとことは言わない筈です。人間の心底まで見抜いての、愛甲局長の腹でありました。

 また、こういうこともありました。愛甲局長が退職してからのこと、庶務課長がやってきて丁重に挨拶した後、

「局長さん、誠に済みませんがお金を貸して戴けませんでしょうか。実は熊本に家を建てようと思い計画しているのですが、五百万円程足りないものですから。どうかお願いできませんでしょうか」

と来訪の用件を伝えました。局長が貰った退職金を目当てにお願いに来たのです。

「あ、そうですか」

 愛甲局長は、返済方法、利息等々全く聞きもせず、すぐ銀行から引き出して貸し与えたのです。お願いした庶務課長、またまた度肝を抜かれたのでありました。それにしても、疑いもせず、確認もせず、金を貸すということに何の躊躇もせず実行するという人間の大きさに唸ったものです。

………

 昨日は念入りなブログを書き更新しようと思い保存しましたら、パッと全部消えてしまいました。「操作ミスのようです」とメッセージが出ました。あ、そうかと思い書きなおして更新したら、また消えました。同様の作業を5回ほど繰り返しました。ブログを書いてから1年8か月になるのですが、こういう経験は初めてでした。

 そこでNTTの104に電話をし、OCNテクニカルサポートセンターへ電話をし、経緯を説明しました。「貴方の会員番号は何番ですか」とかいろいろ聞かれました。でも老人の私は用語の意味が分からないのです。そうこうしている内、今回の問題はOCN側の局内工事が原因しています、ということを聞きました。その対応に納得しました。

 ややもすると自分たちの非は隠ぺいして、相手のせいにする傾向がある世の中ですが、OCNの誠意ある対応に感謝した次第でした。30分で済むブログ書きが3時間30分かかりました。でも私は、全くカリカリするようなことはありませんでした。業務中の間違い等はあり得るものです。私のカリカリを担当者の誠意ある対応が払拭してくれました。

 全く次元は異なりますが、現政権は子供手当問題等々でバラ巻いた挙句、大幅な予算を組み将来に積み残しました。これらは困窮している人々を救済することに異論のある人はないと思うが、金持ちにまで手当を支給するというのは将来に対して、どう責任をとるのか、ということです。

 ソヴィエト連邦が崩壊した原因に同様と言っても過言でないことがあったのです。人間は自動的に天から金が降ってくると、余程真面目な人間でない限り働かなくなるのです。私が勤務していた会社の人間たちがそうでした。仕事を与えようとする以前に文句を言うのでした。それで喧嘩をしたくない為に5年早く退職したのですが。

 でもそのお陰で、学問の世界を逍遥するようになって私は良かったと思っています。